小春日和と寒波が交互に訪れるこちら伊勢湾沿岸。
そんな天候にも梅の花が満開に咲き誇るのをみると「春はすぐそこまで」と実感できる気がします。
さて、僕達にとって「春」は特別な季節です。
「僕達」とは。。。。。。そう、「お祭り馬鹿」の仲間達。
今年も3月28日・29日の両日に行われるお祭りに向けて毎週末、一致団結してその準備に追われている日々を過ごしております。
そのお祭りのシンボル。
それは僕らの手で作り上げた一台の山車。
6年前、わずか6名の有志によって手探りの中で作り出した山車。
今では、集落の人々に愛され、多くの若者たちの心を掴みました。
そして、その若い世代がお祭りの主役となって盛大に盛り上げてくれる事となったのです。
さて、その愛する山車ですが、その最大の特徴は「いちからの手作りである」ということ。
なにしろ6年前、僕たちの最初の作業は、里山に入って杉の木を伐採でした。
それを製材所に持ち込んで柱に加工する。
材料となる木材の1本1本から手作りしていったのです。
以来、6年間「僕たちの山車をもっと・もっと立派にしたい」という熱意にあふれた仲間達の手によって、毎年そのグレードを高めてきたのであります。
ということで、もちろん今年もグレードアップです。
今年のグレードアップのテーマは「上屋根を昇降させるからくり機構の取り付け」
山車の最上部には、「高覧(こうらん)」と呼ばれる床があり、その床を屋根が覆うというデザインとなっております。
その屋根は、山車が停止した時は、高々と持ち上げそこに幕を張ってお祭りに携わる人々の威勢を鼓舞するというのが趣向となっております。
(持ち上げられた上屋根&若い衆達at2008年・春)
その屋根を支える柱を上げ下ろしするための「からくり機構」が、本格的に作られた山車には必ずあるのですが、そこは、素人が作った手作り山車の悲しさ、これまで、そのからくり機構を取り付けないままここまで来たのでした。
この6年の間、優先順位の高い改造をひとつづつ行いながら着々とグレードアップを果たしたなかで、今年は、からくり機構の取り付け改造の順番がめぐってきたのでありました。
まずは、からくりの部材加工から始めます。
6年前に僕達が里山から切り出した木で、今日までの貯木場に保存をお願いしていた材木を引き上げ、製材所さんの設備でからくりの核となるものを作りました。
そして、そのからくりを支える軸を作りあげました。
作り上げた部材を山車倉に運び、いよいよ取り付けです。
この日集まったのは、20名ほど。
その全員で山車の車台部分をいったん解体し、いよいよ取り付けです。
慎重に寸法を取り、からくりが取り付けられるように車台の細工を施します。
車台そのものに穴を空けたり削ったりしますので、間違った場所を加工してしまったら取り返しがつきません。
皆んな、さすがに真剣です。
取り付けのための細工も終わり、全員で車台を持ち上げ、からくり機構を嵌め込みました。
からくりは、スムーズに嵌め込まれ、一同ひとまず安堵です。
しかし、本当の山場はこのあとです。
取り付けたからくり機構に全員の目が注がれます。
はたして無事からくりが動いてくれるのか
全員が見守る中、からくりを支えている仲間が、手を動かしました。
「すぅ~」っという木と木がこすれ合う時に発する小気味良い音を立ててからくりは動きました。
動かした仲間の「問題なし!」のひと声に思わず「よっしゃ!」の声を上げた僕達でした。
(木肌も真新しいからくり機構)
このからくり機構を使えるように引き続き上屋根と柱の改造を作業中です。
今年の改造は、表からは見えにくいものです。
でも、実は、僕達にとって、とても大きな知恵と労力を注いだ「力作」なのであります。
熱意と情熱と夢さえあれば、何だって出来る
このからくりに込めた思いは、お祭りの日、高々と持ち上げられた上屋根を見たとき、充実と満足に変わることでしょう。
今年も、心はすでに春に馳せ飛ぶ、僕達お祭り馬鹿なのであります。