2007年9月18日、ペンシルベニア州ピッツバーグにあるカーネギーメロン大学の講堂の壇上に若干46歳の若き教授が講義のために上がりました。


教授の名は、ラドルフ・フレデリック・パウシュ(Randolph Frederick Pausch)


ニックネームは「ランディ」


コンピュータサイエンスの領域において、とりわけバーチャルリアリティの分野で画期的な業績を送り出してきた教授の講義を聴く為、講堂は400人もの聴衆によって、ぎっしりと埋め尽くされていました。

なぜなら、この講義が、この若き教授の



最後の講義(The Last Lecture)」


だったから。


癌に侵された若き教授に告げられた「余命数ヶ月」という現実。

その現実と向き合ったとき、「自分が何かを遺してあげられる場所はいったい何処にあるのだろうか?」そう考えた教授が出した、その「答え」


そう、学者として、その場所は、キャンパスの中であり、学生の前だった。




サイエンティストならではの、たくさんのスライドをスクリーンに映しながら、教授は、壇上からこう語りかけたのでした。




レンガの壁がそこにあるのは、理由がある。

僕の行く手を阻むためにあるのではない。

その壁の向こうにある「何か」を

自分がどれほど真剣に望んでいるのか、

証明するチャンスを与えているのだ。




この日の講義の演題は



子供のころからの夢を本当に実現するために





「夢を持つ事」の素晴らしさ


「夢を叶える事」の尊さ


そして、その夢は、いつか必ず叶えるのだと


「信じ続ける事」の大切さ




自らの46年間の人生の中で、ひたすら追い求め、情熱を傾けてきた歴史を振り返りながら、教授は聴衆に語りかけていきます。




教授は、講義の最後に聴衆に向かって、こう述べました。



夢をどのように実現させるかという話をしたのではありません。人生をどのように生きるかという話をしたのです。人生を正しく生きれば、運命は自分で動きだします。夢のほうから、きみたちのところにやって来るのです。



そして、こう締め括ったのです。



みなさんのためだけに話したのではありません。「僕の子供たちのためなんです」



講義の最後にスクリーンに映し出されたのは、父親として、最愛の3人の子供達を抱きかかえる一葉のポート・レートでした。




2008年7月25日。

教授は、最愛の妻や幼い子供達に看取られながら、47歳の生涯に幕を下ろしました。






この講義に貫かれているもの、それはまさしく「愛」。



最後の授業 ぼくの命があるうちに/ランディ パウシュ
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*** 付記1  ***


本来であるならば、著作の抜粋引用部分につき、その頁箇所を明示しなければなりませんが、今回、記事の文脈上省略させていただきました。

替わって、当該引用文については、フォントおよび文字の色を変更する事により引用文である事を示しております。

各権利関係者ならびに当記事をお読みになられる方には、その点ご了承ください。


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*** 付記2  ***


この記事にて、テーマ「本」が丁度100冊となりました。

一応、これもひとつの節目と考え、ここに記しておきます。


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