2008年8月12日。
永年の夢が、同時に2つも叶った、僕にとっては「生涯忘れる事のできない記念日」となりました。
そして、この日は、「妹との対面」の記念日である事は言うまでもありません。
チャペルをあとにし、Reimsの市街を歩きながら、僕は、
来年から、毎年、この「記念日」に「姉妹の絆」であるヴーヴクリコを開けて乾杯をする事しよう
と密かに心に決めたのでした。
さて、妹様の案内でReimsの市街を散策です。
街並みを歩きながら、漫遊記一行にいろいろレクチャーしてくださる妹様。
週末に開かれるマルシェの様子。
Reimsという街の人々の気質。
「地場産業」であるシャンパンの「製造・流通業界」の現状。
周囲の街並みに目を奪われている「味わい母子」をそっちのけで。僕は妹様が聞かせてくださる「生活者の視線でみた等身大のReims」のお話しがとても興味深く、真剣に耳を傾けていたのであります。
「あれが、レストランの壁に掛けられていた絵の原画です」
妹様が、一軒の大きな建物の壁を指差しました。
そこには、壁の上部に美しい絵が描かれていました。
(壁に描かれた絵画群)
それは、かつての「シャンパン作り」の様子をモチーフに描かれたものたちでした。
午前中、幻想的な雰囲気を持つ「地下のシャンパン・カーヴ」で妹様がガイドしてくださった情景が美しい色彩で描かれておりました。
そして、この絵は、僕たちが「笑顔のランチ・タイム」過ごしたレストランの壁に模写されて掲げられていたのでした。
レストランを出るとき、妹様が、「あとで、この絵原画のある場所にもご案内しますね」と耳打ちしてくださっていたのです。
尚、この原画、「台湾のご夫婦」もご覧になり、いたく博士様が気に入られたそうな。
いずれ、そちらでも再度、ご覧いただけることでしょう。
さらに路地を歩いていくと、次なる目的地に到着。
(Reims市庁舎です)
この市庁舎は、マカロン妹様とダーリン様が、結婚式を執り行った場所。
以前、マカロン妹様が、バイアリー家に絵葉書を送ってくださったのですが、そこに、この市庁舎の写真が載せられていたのです。
その絵葉書を見て、「いつか、実際に見てみたいわぁ」と常々「味わい母」が言っていたのでありました。
念願かなって、訪問です。
建物の中を見回しながら、
「市役所で結婚式のサービスしてくれるの?」
と聞く「味わい母」
たしかに、日本人の感覚では、「素朴な疑問」に違いありません。
「フランスでは、法律で、予めに「○○と○○が、何月何日に結婚するので異議のある者は、この期限までに役所に申し立てをせよ」という告示がなされるんです。そして、結婚の認証は、市長の権限で行う事になっているんですよ。だから、結婚式はすべて「市役所で執り行われる決まり」なんです」
妹様の解説を聞いて国による制度の違いを学んだ「味わい母」でした。
市庁舎を出て、途中「王の広場」を見学。
(王の広場)
「この、ルイ15世の銅像、フランス革命のときに壊されちゃったのを復元してるんですよ。ほかにもカソリックの神聖な場所をあえて辱めてみたり。。。。過去の権威に対する徹底的な反発が、人々を「行き過ぎた感情」に引きずり込んだのでしょうね」
妹様のこの「ひと言」が、いまでも耳の奥に響いている僕なのであります。
一行は先へと進みます。
街の角を曲がると、そこには
(世界遺産の荘厳な姿が目の前に)
ノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame de Reims)
歴代のフランス国王が、王となるための儀式「戴冠式(正しくは聖別式)」を行った神聖なる場所。
かの、ジャンヌ・ダルクが、オレルアンからシャルル7世を導き王位に就く事を成就した場所。
そして、この荘厳な美しさに感銘を受け、即座に洗礼を受ける事をかの藤田画伯に決めさせた場所。
数々の歴史ドラマに彩られ、今でも厚い信仰の心に崇められ、また、信仰なき人々にとってもその美しさで惹き付けてやまないこの建物は、1991年、「ユネスコ世界遺産」に登録されました。
この光景を目の当たりにして、オリ江ちゃんを握りしめた僕は、すでに「うずうず」。
それを見て、マカロン妹様が、「動物博士君は私がご一緒してますから、どうぞ心行くまで思う存分ご覧になってきてください」と仰ってくださいました。
その言葉を聞き終わるのも待ちきれず「宜しくお願いします」と挨拶すらせず、僕の足は勝手に大聖堂の奥へと吸い込まれるように歩き出していたのです。
妹様、その節は、本当にご無礼をいたしました。
今更ながら、この場をお借りしてお詫び申し上げます。
オリ江ちゃんとの成果の数々は、「3泊4日写真教室」への「課題提出」といたします。
さて、マカロン妹様が、引き受けてくださった我が動物博士こと社長。
どうやら、彼も大興奮のひと時だったようです。
マカロン妹様より「あちこちを動き回り、隅々までしっかり見ておりましたよ。すごく、喜んでくれて私も嬉しいです」とのお言葉をいただきました。
小学4年の目にも、この場所の持つ荘厳さ華麗さそしてそこに宿る敬虔な心が伝わったとしたら親として本当に嬉しく思います。
「本物を見せることの大切さ」
をあらためて痛感した僕でありました。
さて、そんな大興奮の男二人。
興奮冷めやらぬ中、入り口の扉近くまで戻ってきました。
そういえば、すっかり夢中になって「ほったらかしている人がいる」のを思い出しました。
そう、「味わい母」。
いらしゃましたよ、「お土産物売り場」
いつでも何処でも「味わい母」は「味わい母」です。
中世なら、不敬の罪で「火あぶり」やでっ!!
「免罪」を希うわけでもないでしょうが、十字架のペンダント・トップとそれを通すチェーンをお買い上げになられました。
はい。
もちろん、実行委員長の財布で。
さて、「味わい母」に買ってあげて「社長に無し」では実行委員長としては「こりゃ、いかんやろ」と考え社長にも「何か選びなさいな」といいますと「僕は、いいわ」との返事。
いつもそうなんです。彼。
欲しいものがあっても、親や周囲に気を遣って決して「おねだりをしない」
親だけでなく、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんが「何か買ってあげようか?」と言ってくれても、必ず遠慮をする。
今回、サンジェルマン・デュ・プレで早々に撃沈した父を見て、彼なりに精一杯、僕に気を遣っているのです。
このあと、カテドラルを後にして、移動の途中、歩き疲れた僕達が小休止している時、あらためていろいろ話してみると、社長のヤツ、すでに昨日のエッフェル塔でも親に遠慮していたことが解りました。
15cmほどのエッフェル塔のキーホルダーを「物売りのあんちゃん」からさんざん値切って買い求めたのですが、そのあと立ち寄った売店で売られていた30cmほどの置物が欲しかった社長でしたが、その値段をみて「高い」と思った彼は、ぐっと我慢してあきらめたと言うのです。
「親バカ」と言われてもかまいません。
僕は、我が息子を
心から誇りに思います。
「よし、Parisに戻ったら、必ずエッフェル塔を買おう」
息子に固く約束した僕でした。
この約束、Parisでありがたい結末を迎えます。そのお話しは、また、のちほど。
Reimsでの小旅行もいよいよ最終。
このあと、さらに嬉しいご対面をはたし、短いながらも楽しいひと時を過ごします。
そして、Parisでの「最後の夜」を迎えます。
「ナイト・ツアーは、中庭を猛ダッシュして」編へとつづく