人間は、他の生物とは違う。




この言葉には、多分に「人は地球上のどの生物よりも優位な立場に立っている」という意識が込められている場合が多い。

そんな意識が、生物種としての人類に自ら「ホモサピエンス(知恵のある人)」と名付け、そして「人は万物の霊長」だなどと吹聴させる事となる。


著者は言う。


「人が生物としてユニークだというが、猫には猫のユニークさがあり、犬には犬のユニークさがある」と。


「生物の種」とは、ユニークだからこそ「独立した種」として分類が成り立っているのである。

つまり、「生物」という中においては、人類もまた「生物種のひとつにすぎない」のである。



長年にわたって動物行動学の分野で観察と研究を重ね、数々の著書を世に送り出してこられた著者の「著作全集」の最終巻。

そして、その最終巻の文章は、このために新たに書き下ろされた。

そして著者が選んだテーマは、「人」そして「科学」。

著者は、その研究生活の中で、最後にたどり着いた「問題」は、実はもっとも深い位置にある「原点」だったのではないだろうか。





この夏、じっくりとこの一冊に向き合ってみたい。

人間はどういう動物か (日高敏隆選集 8) (日高敏隆選集 8)/日高 敏隆
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