先日、旅先の静かな住宅街にひっそりと佇む「宝物のような場所」から連れ帰った一冊。



よく整頓された、こじんまりとしたその空間に置かれた小さなテーブル。

その台の上で「静かに腰を下ろして感慨に耽っている」


本が乗せられた「景色」に、僕は、そんな錯覚に囚われながら、つい手に取ってページをめくる。




そして、出会った、こんな一文。





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(前略)草むしりはおもしろかった。(中略)草むしりというのは、鼻歌フフンと歌いながらむしりとるもの。そんなものであってほしい、と思う。(中略)草が元気な場所は、大地が力強く呼吸している。わたしたちも、腹の底から呼吸ができる。


**** 本書104頁「余談その二 「草むしり」より抜粋引用」 ***






日々の暮らしの中で、「草」と向き合う時、こんな思いになれたなら、きっと少しは愛しんであげられるに違いない。



大自然の営みの前では、等しいはずの「命のたくましさ」に人は、自らの都合で優劣をつけている。




その意味を思うとき、この本が教えてくれる事は、深くて大きい。





草手帖/かわしま よう子
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