春寒。降り続く雨は、ようやく峠を越したよう。 夜になって、あたりに静寂が訪れた。 しばらく締め切っていたままの窓を久しぶりに開けてやる。 部屋の空気が動き始めるのが肌に伝わる。 外から流れ込んでくる空気につい思わず身震いひとつ。 こんな日は、少し熱めの燗がいい。 体で寒さを感じつつ、手のひらに伝わるのは、ほんのりとした温もり。 これもまた春。