週の始まりは、冷たい雨と吹きぬける風で始まった。



一夜明けて、春の嵐は過ぎ去った。



つい昨日まで「爛漫」という言葉と賞賛を一身に浴びていた「日本人の心の花」。



今日、見上げる樹に思う言葉は「儚さ」と「切なさ」。




ひらひらと舞い落ちて肩に止まった「ひとひら」をそっと大事に連れ帰る。






ぬる目に燗した純米酒を盃に注ぐ。



連れ帰った「ひとひら」を静かにそこに浮かべてみる。




「今年も本当にありがとう」



盃を手に独りつぶやく。