当たり前に包まれているから、ことさら意識もせずに毎日暮らしております。

でも、実は、とてつもなくスケールの大きなものなんですね。

読み始めて、すぐに、これを「海」に喩えた著者の発想に「なるほど」と納得させられるのであります。



大気




この目に見えないものに挑んでいった科学者たちにスポットを当て、その織り成す人間ドラマを交えつつ、大気の謎を解き明かしていきます。

そして、この地球が「奇跡の星たりえる理由」がそこから見えてきます。



ぐいぐいとひきつけられるその筆致は、「科学を究めたジャーナリスト」である著者の才能がいかに卓越したものであるかを実証しているといってよいでしょう。



地球のいちばん上である「地表」に立って暮らしているつもりの僕たちは、実は「大気」という「海の底」に暮らしていたのだとあらためて得心させてくれます。


科学の楽しさを実感する一冊です。



ガブリエル・ウォーカー, 渡会 圭子
大気の海―なぜ風は吹き、生命が地球に満ちたのか