後の月。空にいわし雲が広がった一日。 夕暮れの帳が降りて、辺りはひと時、闇に包まれる。 やがて、雲の隙間から青白い光がほんのりと闇を照らし始める。 満月までに少し早い月影は、秋風の冷たさが良く似合う。 手にした盃にぬる目の燗を注いでやる。 盃に映った、十三夜の月を手の掌に独り占め。