やっと梅雨らしい天気となったと思ったのもつかの間。土曜日の知多半島は、早朝より抜けるような青空が広がり、強い日差しが降り注いでおりました。
部屋の温度計もお昼前には30℃を指し示し、「本当に6月か?」と思わずつぶやく暑い一日となったのでした。
梅雨の晴れ間を使い、日の出と共に畑に出て、雑草の刈り取りと苗へ肥料を施し、そして順調に実りを迎えている作物の収穫にいそしんでおりました。
さて、この土曜日は、もうひとつ「この季節ならでは」の大切な作業があったのであります。
「梅の雨」の名のごとく、この季節にしか出回らない梅の実を使っての年中行事。
そう、今年も梅干の仕込みの季節となりました。
梅を使ってのもうひとつの行事である「梅酒の仕込み」は、6月の初旬に行います。
しかし、この梅干の仕込みは、梅酒に遅れること2週間を隔てて行います。
実は、これにもちゃんとした理由がございます。
梅酒に使うのは、若々しく硬い「青梅」が適しており、そうした若々しい梅が手に入るのは、収穫シーズンの始まりの頃。対して、梅干に適しているのは、よく熟した梅。
つまり、熟した梅の実が手に入るのは、収穫シーズンの最盛期から終わり頃にかけてと言う事なのであります。
(梅酒用の青梅)
(梅干用の完熟梅)
赤く熟しているのがお分かりでしょうか。
さて、いつもお世話になる青果屋さんに出向き、市場から競り落としてくれた梅を受け取って、まずは、桶の中に水を張って浸します。
こうして、3時間ほど水に浸して梅の実の「アク」を抜いてやります。
(水に浸してアク抜き中)
ここまで終えたら、ちょっと一息。
とっくに30℃を超えている中での作業で汗まみれの僕は、シャワータイム。そして、朝採れたばかりのズッキーニ を塩コショウで炒めて、それをおかずにお昼ご飯といたします。
主食はもちろん「泡の出る黄金色の液体」。
食事を終えて、一時間ほどのんびりしたら、さあ、いよいよ作業の本番です。
まずは、梅の実からヘタを取ります。
(「竹串」を使ってひとつづつ)
作業そのものは梅酒と同様なのですが、今回助っ人 が、子ども会の集会に出かけていて、お留守。
しかも、梅酒の時とは違い、梅の実の数も倍以上あります。
もっとも、これまで独りでやっていた作業ですから、さして苦にはなりません。
かれこれ、一時間ほどで10kgの梅を処理いたしました。
続いて、梅の実をしっかりタオルでふき取り水気を取ってやります。
いよいよ桶への仕込みです。ここで大切なポイントは2つ。
「しっかり殺菌をしてやること」
そして
「まんべんなく塩を行き渡らせること」
このふたつを注意すれば、誰にでも梅干を作る事ができます。
まず、漬け込む桶と重石を洗剤で洗い、水気を良くふき取ったら、最後に消毒用アルコールでしっかり拭いてやります。
これで器は準備オーケー。
今度は、梅に取り掛かります。
まず、ボールの中に40度のウォッカを注ぎ、その中に梅を潜らせます。これで梅の実の殺菌を行います。(この場合35度のホワイトリカーでも良いです)
(ウォッカに潜らせて梅の実を殺菌)
続けて、表面が濡れたまま、塩をまぶしてやります。
先にウォッカで表面が濡れている為、梅の実に塩がしっかりついてくれます。
この時使う塩は、必ず「あら塩」です。
(塩をまぶして)
これを先ほど殺菌した漬物桶の中に入れて、一段出来たら塩を振り、また梅を入れて塩を振るという作業を繰り返します。
このときの塩の量は、
梅の実の重量に対して18%。
「15%でもなければ、20%でもない」
昔から伝わっているこの分量には「古の人々の知恵」が詰まっていると確信しているの僕なのであります。
全ての実を桶に入れたら、後は重石をして、完了です。
(重石をかけて)
こうして、10日間ほど保存している間に梅の実から酸っぱい液体が滲み出してきます。
これが「梅酢」。
この梅酢が出たら、今度は、そこに「赤しそ」を漬け込む作業が待っています。
梅雨が明けて、「土用」のころ、天日に干したら、今年の梅干の仕込み作業は終了します。
梅雨の晴れ間のとある田舎の日常でした。