香る初夏。今年の6月の空は、泣く事が少ない。 今日も泣く出しそうになりながら、ちょっと堪えてしまったようだ。 一日を終えて、独りソファーに腰をおろす。 開け放した窓からは、緩やかに風が渡ってゆく。 通り過ぎる風からは、クチナシの甘い香りが微かに漂う。 グラスには、ほどよく冷えた白ワイン。 届いた香りが「夏の始まり」を教えてくれた。