クリス・ロバーツといいます。
ゲティ美術館の欧州担当者です。
この、一本の電話から、作戦の火ぶたは、切って落とされました。
1994年2月12日、ノルウェー。
この日は、「リルハンメル・オリンピック開会式」という全ノルウェー国民にとって、全世界から注目と賞賛を受ける祝賀の日となるはずでした。
しかし、この日、ノルウェーから発信されたニュースは、全世界を賞賛だけではなく、驚愕させるに充分でした。
ノルウェー国立美術館から、
ムンクの「叫び」が何者かによって盗まれた!!
現場に残されていたのは、一枚の絵葉書。
そこには、こう書かれていました。
手薄な警備に感謝する
このニュースを聞き、ノルウェーから遠く離れた場所で即座に行動を開始した男達の一団がありました。
彼らの名は、
ロンドン警視庁美術骨董課
通称、「美術特捜班(アート・スクワッド)」と呼ばれる、美術品犯罪の特捜チームによる「ムンクの「叫び」奪還作戦」が始まりました。
この奪還作戦を中心に美術品犯罪の実態や画家ムンクのエピソードなどの薀蓄話しも織り交ぜ、テンポよく書かれた文章は、読む者を決して飽きさせない。
まさに
事実は小説よりも面白い
初夏の風に吹かれて、ビール片手に読むのにぴったりの1冊。
- エドワード・ドルニック, 河野 純治
- ムンクを追え! 『叫び』奪還に賭けたロンドン警視庁美術特捜班の100日