始まりは、スイスにある全寮制学校の寄宿舎。

世界中から集まり、そこに学び、暮らしを共にする10人の少年達が、同級生に仕掛けたいたずらが高じて、ある日、事件を起こしてしまいます。

いたずらをしたと名乗り出たのは13人。

でも、いたずらをしたのは、10人。まったくいたずらに加わっていなかったにも係わらず名乗り出た3人のうち一人は、なんと、いたずらを受けていた張本人でした。

少年達のいたずらは、ただの「悪さ」ではなく、理不尽な大人に対する「アンチ・テーゼ」だったのです。

この事件により、13人の少年は、退学処分を受けます。


それぞれの国に帰ってきた少年の一人、ドイツのケルンに住むケンは、ある日、テレビを見て、物理学の研究者である母親に尋ねます。



「いままでに、タイムマシンを作った人っている?」


台所で夕食の料理を作っていたお母さんは答えます。


「タイムマシンは、理論的にはできるんだけど、作った人はいないわね」


ケンは、さらに尋ねます。


「ぼくに、作れると思う?」




少年達は、動き始めます。ケルンを目指して。

トルコ、ギリシャ、フィンランド・・・・etc.、そして、13人誰一人欠けることなく集まるために、南米のスラム街に不遇な境遇にある友を迎えにも出かけて行きます。

こうして、ケルンを目指そうとする息子達を親達は、暖かく送り出してやるのです。

そう、自分達の息子を信じ、その息子達の夢を応援するために。



1988年、15歳の少年達が、歩みだした「時間旅行への旅立ち」

そして、その夢の実現のために、親として出来る事は、ただひとつ「息子を信じてあげること」




親が子供のためにしてあげられる事は、せいぜい「目の前の夢と希望とチャンスを力いっぱい応援してあげる事だけ」なんだなと気づかされる一冊。




寒い季節に、友情と愛情で心を暖かくしませんか?


アニリール・セルカン
タイムマシン