このニュースを知ったのは、先月の事。
僕が、尊敬してやまない「東京ランチタイムの伝道師」ことchoku1028様 が、僕のコメントにレスにて教えてくださった一言でした。
その場所とは、かれこれ10数年にわたってのお付き合いでした。
当時、大阪をベースにしていた僕にとって東京に出向くと言う事は、まさに真剣勝負をしに行く街でした。
今でも、それは、変わりません。
その東京で、泣いたり・笑ったり・悩んだり・疲れを癒したり・・・・・。
様々な思いの僕が、その身を置いていた場所でした。
その場所が、まもなくクローズされる。
このニュースを知るにおよんで、この場所に、ちゃんと「ありがとう」を伝えたくなったのであります。
その場所とは、帝国ホテル東京内「ユリーカ」 。
その日、ビジネスを完了して、取引先様のオフィスをあとにしたのは15時過ぎ。
歩いて帝国ホテルまで移動しました。
ここ2年ほど、東京での拠点が日比谷となっている僕は、今年もすでに2度ほどお世話になっております。
年内の上京はこれが最後。お店がクローズされるのは、1月7日。
今回お世話になるのが、本当に最後となります。
入り口まで来ると、まず、目にはいったのが、この告知のポスターでした。
この告知を読みながら、「ああ、本当に無くなってしまうんだな」としみじみと思ってしまいました。
入り口には、ランチ・タイムを過ぎたにもかかわらず、エスコートを待つ10人ほどの列がありました。
列に並んで待つ間に、僕の後ろにも、ほどなくして何人かの人が並ばれ、列がさらに伸びていました。
僕と同様にこの店の閉店を惜しむ人たちが、お越しになられたのだとその時、気付いたのです。
待つ事暫し、店の中へ案内されました。
いつもならば、通りに面した、窓際の席をリクエストするのですが、この盛況ぶりの中で、それは、「わがまま」と言うもの。
禁煙席だけをお願いして、あとは、どこに通されてもという思いでした。
そして、案内していただいた席は窓際の、しかも、僕が、一番好きなテーブルでした。
このテーブルからは、通りの向こうにある日比谷公園が見えるのです。
さて、何を頂こうかと迷いました。
僕の定番は、サンドイッチとビール。
でも、今日は、最後です。
このお店で、初めて食べたメニューにする事にしました。
帝国ホテル特製ハンバーグステーキ
今では、記憶が定かではないのですが、ビーフシチューかハンバーグステーキかのどちらかだったはずです。
でも、当時、コースで食事をする事も修行のうちと思っていた僕の事。
きっと、ハンバーグステーキにスープとサラダのセットをオーダーしたのだと思うのです。
スープ、サラダと進み、いよいよメインのハンバーグです。
(ユリーカのハンバーグステーキ)
久しぶりに味わうハンバーグの味は、何だか初めての味に感じました。
きっと、以前は、味わうなんて余裕すらない気持ちを抱きかかえていたのでしょう。
そんな、自分に少し苦笑しながら美味しくいただきました。
最後に、コーヒーをいただきました。
(コーヒー)
こちらは、舌に馴染んだ、おなじみの味です。
少し、苦味のあるその味は、この10年以上、いつも変わる事のない味でした。
コーヒーカップを持ちながら、窓の外をぼんやり眺めていると、いろいろな思いが、一気にこみ上げて来ました。
この10数年、この東京で様々な事がありました。
多くの人と出会い、いろいろな場面に向かい合い、たくさんの事を学び・・・・。
泣いた事もありました。
もうダメだと思った事も何度となく。
でも、いつも誰かに支えられ、そしてここまで歩んできました。
東京で何かを思う時、必ず選んだのは、この場所でした。
この場所に身を置きながら過ごした時間が、僕にとっていかに大きな意味を持つものであったのかをあらためて実感したのでした。
ふと気付けば、既に1時間以上たっておりました。
入り口に目をやると、まだまだ、人の列が続いています。
多くの人が、別れを惜しむためにお見えになっているのに、いつまでも一人で席を占めていてはなりません。
それに、帰りの新幹線の時間も迫っています。
伝票を手に「これまで、本当にありがとう」と心で唱えながらレジに急ぎ足で向かった僕でした。