遠雷。今夜は、日が暮れても、一向に風が吹いてこない。 いつもは、浜風が吹く時刻でも、ぴたりと空気は凪いだまま。 湿り気を帯び始めた空気から雨の気配が漂っている。 遠くの方から、かすかに響いて聞こえてくる雷の音。 ラム酒にレモンをひと絞り。 遠い響きが氷の揺れる音に重なった。