著者は、言わずと知れた、臨床心理学の第一人者。


その著者が、専門の臨床心理学とは、少し違った視点で「大人の友情」について書き綴っていく。




友達とは。


友情を支えるものは何であるか。


男女間の友情は。


友の出世。




そして、「友人の死」あるいは「裏切り」などの12のテーマで語られる「河合流友情論」。



ただ、テーマへのアプローチは決して心理学の「理論」から始まるのではなく、あくまでもひとりの人間としての感性から著者の思索は広がっていく。





あえて、本文ではなく、「あとがき」の一節を紹介ておきたいと思う。




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(前  略)

長い人生のなかで、友情ということ-その裏切りも含めて-を一度も体験したことがないし、考えたこともない、という人は、「人生の旅」を観光旅行的に表面だけ見て過ごした人ではないか、と思う。せっかくの人生なのに惜しいことだ。

(後略)



-本書200頁「あとがき」より抜粋-



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大人になった「今だからこそ」大切にしたい「友と友情」について、もう一度、見つめ直し、あらためて、その大切さを考えてみる重要さに気付かせてくれる。


そんなヒントが散りばめられた1冊。




「友情」という言葉は、本当は大人の為にこそ、あるのかもしれない。




河合 隼雄
大人の友情