僕が読者にさせていただいておりますorino様が「サーバーのシステムメンテナンス」について記事にされております。

(リンクはこちら→)織野ノリオ:サイトオーナーのヒトリゴト


記事の中でorino様が


サーバー等システム関連のメンテナンスと聞いてもピンと来ない。
作業内容や作業後のチェック項目がいまひとつイメージできないのだ。


とお書きになっておられます。


たしかに、「一般的にはイメージしづらい作業かも」と思いましたので、このあたりは、僕の専門領域ですので(会社にて情報システム部門を受け持っております)この機会に、皆様にご説明をして、多少なりともご参考になればと思う次第です。


まず、「サーバー」という用語ですが、一般には、情報システムの基幹となっている「メインコンピュータ」というご理解と思いますので、その前提においてご説明してまいります。


サーバーのメンテナンスには、いくつかの項目がありますが、

1).定期的に行われるもの

2).不定期・随時に行われるもの

の2通りがあります。


そして、それぞれにおいて

a).機器(ハードウェア)に関するもの

b).システム(ソフトウェア)に関するもの

がありますが、今回は、orino様ご指摘の「システム関連のメンテナンス」についてのみご説明いたします。


作業処理の方法ですが、

あ).処理プログラムをインストールして実行する

い).あらかじめシステムに実装されている機能を稼動させる

の方法がありますが、いずれにせよ、


「処理はプログラムを走らせることで行われる」


とご理解ください。


作業後のチェックについては

ア).処理履歴を書き込んである「ログファイル」を解析する

イ).あらかじめシナリオを作成し、実行結果と突合せを行う(デバッグ手法と同様)

の2通りが一般的かと思います。(その他にもレスポンス測定などの手法が幾つかありますが、最終的に結果確認段階おいて、この2つの処理にて完結します)

つまり


「作業は、人間が出力されたデータを精査することによって解決する」


とご理解ください。

まず、1).定期的に行うものとして


①データのバックアップ
②処理能力の回復・維持


などがあります。


日々サーバーを稼動しておりますと、当然一定のデータが蓄積されていきます。また、システム稼動を連続して行うと、内部に様々な処理能力の低下を招く要因が蓄積されて参ります(ファイルの断片化など)

これら要因から、システム安定性と処理能力を確保・維持するため、蓄積したデータを別な場所に格納したり、あるいは、ファイルの最適化(P/Cの「デフラグ」の大規模なものとお考え下さい)などを定期的に行ってシステムの状態を最良に保ち、安定を図るわけです。


次に、不定期・随時に行うものとして


①ソフトウェアのアップグレードあるいはマイグレーション
②エラー修復


O/Sを含め、各ソフトウェアにおいて、機能拡張、バージョンアップ、あるいはバグ対応の修正が発生してきます。これらは、その処理プログラムのリリースが確定的に予定されたものではありません。したがって、おのずと不定期・随時の対応となります。

また、処理途中において、不適切な事態が発生したり障害が起きたりした場合にも、その復旧対応としてメンテナンスが必要となる場合があります(例をあげれば、ウィルス感染などですね)

これら要因にたいして、不定期・随時にその必要性を考慮して行っていきます。


しかしながら、不定期・随時の対応でも、セキュリティ上の対応など、「緊急性を要する」以外では、ユーザーの利便性を考え、定期処理の機会を捉えて同時に不定期の処理も行うのが一般的になってきました。(メインコンピュータの停止は、すなわちユーザーの利用を制限する事になりますので)

ところが、実際のところ、O/Sを含め非常に複雑な仕組みとなった今日、こういったメンテナンス(多くはバージョンアップなどですが)必ず「不測の事態」が発生いたします。しかも、当初は原因不明の場合が多いのであります。

なぜなら、予測出来る事態に対しては、当然、あらかじめ発生時の対策をしたうえで作業に臨みますので事象が確認できた場合、対処措置を施す事が迅速に出来ますので。


この、「不測の事態」が、実働開始後に顕在化してくる場合は、本当に胃が痛い思いをいたします。

こういった事態において、ユーザーより袋叩きの目にあうのは、今ではシステム運用担当者の宿命といわれております。

「システム運用」という領域は、「針のむしろに座らされた」気分を体感できる、数少ない「ステキな職業」といってよいかと思います。


愚痴はさておき(笑)、以上が、いわゆる「サーバーにおけるシステム関連のメンテナンス」の概要です。



皆様のご理解の一助になりましたら幸いでございます。