1月の米雇用統計、5つの注目点
米労働省は米東部時間3日午前8時30分(日本時間午後10時30分)、1月の雇用統計を発表する。2017年に入って最初の重要な雇用市場の情勢を映し出す鏡となるわけだが、米政府が発表する失業率を批判してきたドナルト・トランプ氏の大統領就任後初の雇用統計でもある。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が行ったエコノミスト調査では、非農業部門就業者数は前月比17万4000人増、失業率は横ばいの4.7%と予想されている。
1.トレンド
雇用者数の伸びは16年末までの数カ月で減速したが、堅調なペースは維持した。10-12月期の増加幅は月間平均で16万5000人と、16年通年の平均18万人を下回った。だが鈍化したとはいえ、このペースなら、人口の増加に十分見合い、失業者を少しずつ吸収できる。米給与計算代行サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティックスが1日に発表した雇用推計など、雇用の伸びが1月に持ち直したことを示す統計も出ている。雇用に再び弾みがつけば、米連邦準備制度理事会(FRB)に対する追加利上げの圧力は高まるだろう。
2.賃金
16年12月の雇用統計では、民間部門の平均時給が前年同月比2.9%上昇し、09年以来約7年ぶりの伸びを示した。1月も再び大幅な伸びになると予想する向きは多い。19の州で1月から最低賃金が引き上げられ、数百万人もの労働者が賃上げの対象となるからだ。賃金の伸びが加速すればFRBは、雇用市場は引き締まりつつあり、追加利上げに耐えられると判断するだろう。
3.失業率
16年12月の失業率(4.7%)は、12月の失業率としては10年ぶりの低さだった。12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表されたFRB理事らの直近の経済見通しでは、長期的な失業率の中心見通しが4.7%〜5.0%とされた。12月の実績値はすでにこの見通しの範囲内だ。失業率がさらに下がれば、労働力人口が徐々に足りなくなる中で雇用市場の引き締まりが進んでいく可能性が高い。失業率が横ばいか上昇となり、しかも雇用が増えていれば、就職を諦めていた人たちが労働市場に戻りつつあると判断して良いだろう。つまり、まだ最大雇用には達していないということだ。
4.トランプ氏のツイート
今回はトランプ政権下で初の雇用統計だ。トランプ大統領はかねて、労働省が発表する失業率は雇用市場の弱さを過小評価していると批判してきた。大統領の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏は選挙戦中、雇用統計を「偽りの数字」と呼んだ。今や政府のトップの座にあるトランプ氏が1月の雇用統計にどう反応するのか、気が気でない人もいるだろう。一つ注意しておくが、慣例に倣いホワイトハウスは2日夜、3日に発表される雇用統計について労働省から説明を受ける。
5.業界別内訳
全体の雇用者数だけでなく、業界ごとの雇用状況にも注意しなければならない。ヘルスケア(医療保険)部門の雇用者数は16年に月間平均3万5000人のペースで増えた。だが、議会共和党が医療保険制度改革法(通称オバマケア)の撤廃を目指す中、同部門の先行きは視界不良だ。一方、製造業部門の活動はここ数カ月で勢いを増している。トランプ大統領は選挙期間中から、製造業の雇用を海外から取り戻すことを公約の柱の一つと位置づけている。
1.トレンド
雇用者数の伸びは16年末までの数カ月で減速したが、堅調なペースは維持した。10-12月期の増加幅は月間平均で16万5000人と、16年通年の平均18万人を下回った。だが鈍化したとはいえ、このペースなら、人口の増加に十分見合い、失業者を少しずつ吸収できる。米給与計算代行サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティックスが1日に発表した雇用推計など、雇用の伸びが1月に持ち直したことを示す統計も出ている。雇用に再び弾みがつけば、米連邦準備制度理事会(FRB)に対する追加利上げの圧力は高まるだろう。
2.賃金
16年12月の雇用統計では、民間部門の平均時給が前年同月比2.9%上昇し、09年以来約7年ぶりの伸びを示した。1月も再び大幅な伸びになると予想する向きは多い。19の州で1月から最低賃金が引き上げられ、数百万人もの労働者が賃上げの対象となるからだ。賃金の伸びが加速すればFRBは、雇用市場は引き締まりつつあり、追加利上げに耐えられると判断するだろう。
3.失業率
16年12月の失業率(4.7%)は、12月の失業率としては10年ぶりの低さだった。12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表されたFRB理事らの直近の経済見通しでは、長期的な失業率の中心見通しが4.7%〜5.0%とされた。12月の実績値はすでにこの見通しの範囲内だ。失業率がさらに下がれば、労働力人口が徐々に足りなくなる中で雇用市場の引き締まりが進んでいく可能性が高い。失業率が横ばいか上昇となり、しかも雇用が増えていれば、就職を諦めていた人たちが労働市場に戻りつつあると判断して良いだろう。つまり、まだ最大雇用には達していないということだ。
4.トランプ氏のツイート
今回はトランプ政権下で初の雇用統計だ。トランプ大統領はかねて、労働省が発表する失業率は雇用市場の弱さを過小評価していると批判してきた。大統領の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏は選挙戦中、雇用統計を「偽りの数字」と呼んだ。今や政府のトップの座にあるトランプ氏が1月の雇用統計にどう反応するのか、気が気でない人もいるだろう。一つ注意しておくが、慣例に倣いホワイトハウスは2日夜、3日に発表される雇用統計について労働省から説明を受ける。
5.業界別内訳
全体の雇用者数だけでなく、業界ごとの雇用状況にも注意しなければならない。ヘルスケア(医療保険)部門の雇用者数は16年に月間平均3万5000人のペースで増えた。だが、議会共和党が医療保険制度改革法(通称オバマケア)の撤廃を目指す中、同部門の先行きは視界不良だ。一方、製造業部門の活動はここ数カ月で勢いを増している。トランプ大統領は選挙期間中から、製造業の雇用を海外から取り戻すことを公約の柱の一つと位置づけている。