トランプ氏の政策と利上げ、割れる投資家の見方 | マーケットの今を掴め!FX・CFD東岳ライブ情報

トランプ氏の政策と利上げ、割れる投資家の見方

投資家は、市場と米連邦準備制度理事会(FRB)に関して二つの異なる見通しを示している。だが、正しい可能性があるのはどちらか一つだけだ。

 FRBの政策担当者は2月1日、翌日物フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を据え置き、次回の利上げについては様子見の姿勢で臨んでいることを明確にした。2日間にわたって開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)会合後に出された政策声明は、利上げを実施した昨年12月以来、「(消費者および企業の)心理の評価が最近では改善している」ことを除き、経済状況は「総じてほとんど変わりがない」と指摘した。雇用市場は良好で、インフレ率は上昇しているが依然として低く、個人消費はまずまずだが企業投資は弱かった。

 投資家はFRBよりも楽観的である。米国の株式・国債市場を見ると、投資家はドナルド・トランプ大統領の減税と財政出動によって企業投資を促進され、(おそらくは輸入品への課税で)物価が押し上げられると信じているようだ。大統領選挙以来、S&P500種指数は6.4%も上げた一方、米国債市場で予想されている向こう5年間のインフレ率は1.57%から1.94%へと上昇した。

 FRBと投資家のあいだに温度差があるのはなぜか。投資家は大統領の経済刺激策を織り込み、その期待感で株価を押し上げてきた。だが、FRBは投資家よりも慎重である必要があり、大統領と議会共和党がまだまとめてもいない政策に基づいて行動することはできない。FRBがそうした政策を予想に組み入れ、適切に金融政策を定めることができるのは、トランプ氏が法案に署名してからだ。

 この点は、投資家の間でも見通しが割れているところだ。米株式と米国債市場からは投資家がトランプ大統領の政策を楽観視していることが見て取れる。しかし、FRBの利上げについての予想が示されるFF金利の先物市場は、そこまで楽観してはいない。

 FRBが年内3回の利上げを予想しているのに対し、FF金利先物市場は25ベーシスポイント(bp)の利上げが2回だけと見込んでいる。

 最終的に投資家の見通しが正しく、実際の利上げ回数が予想を下回るというシナリオを想定するのはたやすい。例えば、トランプ大統領の減税や財政出動の規模が予想を下回った場合、そして、貿易や移民に対する規制が経済成長を損なうようになるといった場合だ。あるいは、大統領が交代したからというだけでは米国経済に対する失望感に変化が起きないという場合もあるだろう。

 これらのシナリオのいずれかが正しかった場合、投資家の市場に対する見通しは間違っていたことになり、大統領選挙以来上昇してきた米国の株価と債券利回りは反転することになるだろう。