オバマ大統領、国民に結束求める−最後の演説 | マーケットの今を掴め!FX・CFD東岳ライブ情報

オバマ大統領、国民に結束求める−最後の演説

バラク・オバマ米大統領は10日、地元シカゴで任期最後の公式演説を行い、米国の民主主義が国外からの圧力や国内の緊張によって脅かされているとし、これを守るため全ての国民が結束すべきだと訴えた。

 

オバマ大統領は、「われわれの歴史には、こうした結束が崩れかねない瞬間が幾度かあった」とし、世界経済の縮小や格差拡大、高齢化、テロの脅威といった要因は「米国の安全や繁栄だけでなく民主主義をも試している」と警告した。

 

その上で、「米国の民主主義に対するこうした問題にどう対応するか次第で、私たちが子供たちへの教育や良い雇用の創出、祖国の防衛といった面でどれだけ力を発揮できるかが決まる」と述べた。 

 

また、米国の将来を脅かすその他の要因として人種差別と地球温暖化といった問題に関する政治的対立が深まっていることの2点を挙げた。

 

「見た目が違うという理由だけで移民の子供たちへの投資を拒めば、自分の子供たちの将来も損なう。なぜなら、移民の子供たちが米国の労働力に占める割合は今後高まっていくからだ」と述べた。

 

オバマ大統領が演説でドナルド・トランプ次期米大統領について言及したのは1度だけだった。トランプ氏は20日に就任するが、その後、オバマ政権下で実現した政策の大半を撤回する方針を示している。

 

オバマ大統領は「10日後には、自由選挙で選ばれた大統領から次の大統領へと政権が平和的に移行する。世界は米国の民主主義を特徴づける要素の1つを目の当たりにすることになる」と述べ、抗議の声を上げた聴衆の一部をたしなめた。「(ジョージ・)ブッシュ前大統領が私にしてくれたのと同じように、現政権も最大限円滑な政権移行を実現させるとトランプ次期大統領に約束した。今なお残る多くの課題に私たちが立ち向かう上で、新政権が力を発揮できるかどうかは、私たち次第だからだ」と述べた。

 

さらに、自らの政治的遺産(レガシー)とみなす政策の正当性を訴えた。国内政策では、大恐慌以来の深刻なリセッション(景気後退)から経済を立ち直らせたことや、医療保険改革法(オバマケア)を挙げた。外交政策では、イラクやアフガニスタンに駐留する米軍部隊の縮小を挙げたが、両国での戦争を終わらせるという公約は未達に終わった。また、キューバとの国交回復やイラン核合意といった成果も強調した。

 

トランプ氏はこれらのどの政策についてもオバマ大統領を批判しているが、どう変更しようとしているのかはまだ明らかでない。