ドルが上昇、米雇用統計の好結果により
【ドルが上昇、米雇用統計の好結果により】
先週末、3日の外国為替市場では、米国1月の雇用統計が予想外に強かったため、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加緩和期待が後退し、ドル相場が押し上げられた。
ギリシャが新たな金融支援を受けるための債務再編交渉が難航しているものの、米国の非農業部門就労者が1月に24万3000人増加し、失業率が2009年2月以降では最低の8.3%になったことを、投資家は好感した。
FRBが政策金利をゼロ近辺に14年暮れまで維持すると約束した先週の政策会合以来、投資家はドルの持ち高形成を渋っていた。労働市場が強くなったことで、FRBの大きな懸念材料の一つが後退するかもしれず、ドル安につながりやすい新たな債券買入措置に踏み切る可能性が薄れるだろう。
今回の雇用統計で、トレーダーらは量的緩和第3弾(QE3)の見通しを調整せざるを得なくなり、景気刺激を織り込む動きから、早ければ14年にも利上げを織り込む方向に転じている。
強い雇用統計は、投資家のリスク志向も高め、株式や高金利通貨への需要を押し上げた。また、ギリシャが民間債権者と債務減免について待望の合意に達するか懸念が引き続きあるものの、ユーロも日中の下げを解消した。
この日の一番値動きが大きかった通貨は、円だった。日本の通貨当局が円高を抑えるために介入するとの警戒感で、円は全面安となった。ここ数日で、ドルが昨年つけた過去最安値の75円31銭に着実に迫ってきたので、日本の通貨当局は必要に応じて「断固とした措置」を講じると警告を発していた。
しかし、欧州債務危機が引き続き当面の大きなリスク要因として残されている。ギリシャの民間債権者は、ギリシャが無秩序なデフォルト(債務不履行)に陥らないための自発的な取り決めにまだ合意していない。この状況がポルトガルに新たな圧力を加え、同国が次の債務再編の対象となる可能性が懸念され、ポルトガル国債の利回りは急騰(債券価格は急落)した。
実際、投資家は引き続きユーロの売り持ち高を大量に抱えている。欧州の経済指標と状況が一段と期待の持てるものになれば、投資家は売り持ち高の解消を促される可能性が高い。
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