2012.1.31 ニューヨーク株式市場動向
31日のNY株式市場は、低調な経済指標を受けてダウは4日続落。ハイテク株の比率が高いナスダックは下げたものの切り返し小幅反発です。
欧州連合(EU)首脳会議で加盟25カ国が財政規律強化のための新条約の制定で合意に達したことや、ギリシャの債務減免を巡る同国政府と民間債権者との協議に関しパパデモス首相が「近く合意する」との見通しを示したことを受けて欧州に対する懸念が後退。NY株は買い優勢でスタートしました。
ただ、11月の米S&P/ケースシラー20都市圏住宅価格指数が予想以上に低下、1月のシカゴ購買部協会景気指数(PMI)と1月の消費者信頼感指数が予想に反して低下するなど、この日朝方発表の経済指標が相次いで弱い内容だったことから米景気回復の鈍さを意識した売りが出て指数はマイナスに転じました。
午後は金融やハイテク株などを中心に買い戻しが入り指数は下げ幅を縮小させました。米連邦準備理事会(FRB)傘下のニューヨーク連銀はこの日、短期債を売却して長期債を買い入れる「ツイストオペ」の2月の実施スケジュールを発表しましたが、金融政策が景気を下支えするとの期待が根強いことや、週末発表の雇用統計への期待なども相場の下支えとなっています。
業種別では、公益、金融、ハイテクなどが高く、資本財、日用品などが軟調でした。
個別銘柄では、米銀大手のバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)やJPモルガン・チェースは、冴えない経済指標を受けて下落する場面もありましたがすぐに上昇に転じています。クレジットカードのアメリカン・エクスプレス(アメックス)は引けにかけて上げ幅を拡大させました。
決算は悪かったものの一部事業の採算改善が評価された鉄鋼大手のUSスチールが上昇。1株利益が市場予想を上回った玩具メーカー大手のマテルは大幅上昇となっています。引け後に決算発表を控えたアマゾン・ドット・コムがしっかり。アップルは3日続伸で過去最高値更新です。
一方、石油最大手のエクソンモービルが下落。朝方発表の同社の四半期決算で、純利益は4年ぶりの高水準となりましたが、売上高が市場予想を下回ったことが嫌気されました。朝方発表の四半期決算が市場予想を上回った医薬品大手のファイザーは上昇して始まりましたが、通期見通しを下方修正したことから株価もマイナスに転じました。
四半期決算が大幅減益となり、1株利益も市場予想を下回った穀物加工最大手アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)が大幅安。同じく失望決算を発表した家電販売大手ラジオシャックが急落し、同業のベストバイも大幅下落となっています。
ダウ構成銘柄では、アメックス、ユナイテッド・テクノロジーズ、バンカメなどが高く、エクソン、メルク、アルコアなどが下げました。
NY原油先物は3日続落。欧州懸念の後退で一時101ドル台まで上値を伸ばしましたが、米経済指標の予想外の低下で値を消しました。金先物は反発。ユーロ高・ドル安を背景に金に買いが入り一時1750ドル台にまで上伸、約2カ月ぶりの高値をつけています。バルチック海運指数(BDI)は、08年12月11日以来の700割れです。
CME日経225先物は、ドル建てが8810(大証比変わらず)、円建ては8800(同10円安)で取引を終了しました。