あの伝説のジョージ・ソロスが本当に引退するのか?
2011年7月27日、国家に勝った伝説の投資家ジョージ・ソロス氏(80歳)が運用するヘッジファンドが年内にも投
資家に資金を返還し、ソロス氏や同家族の資金運用に特化することが明らかになったことを世界のメディアが一斉
に報じた。米証券取引委員会(SEC)が新しく導入するヘッジファンド規制(①ファンドとしての登録を義務付ける
②ポジションを開示する③レバレッジ制限)を回避するのが目的と言われている。
米メディアなどによると、ソロス氏は250億ドル(約1兆9500億円)前後を運用しているが、外部の投資家から
集めた約10億ドル(約780億円)相当を返還するという。
ソロス氏は1930年にユダヤ系ハンガリー人として生まれ、ナチスからの迫害を逃れて英米に渡った。もともと
は株式のトレーダーで、外部の投資家の資金を預かる運用ビジネスを確立したヘッジファンドの先駆け。思考の
不確実性と現実の出来事の不確定性の双方向の繋がりに関する概念「再帰性(reflexivity)」の理論を提唱し、あ
らゆる価格の歪みを見つけて売り買いする「グローバル・マクロ」と呼ばれる投資を得意とし、年20%のリターン
を上げてきた。ソロス氏の名前は世界的に知られたのは1991~1992年の英ポンド危機。英ポンドの歪みを発見
して、買い介入したイングランド銀行に対抗しポンドに売りを浴びせ、10億ドルを稼いだ同時に、欧州為替相場メ
カニズム(ERM)から英政府が脱退することとなった。97年のアジア危機でもタイ・バーツに売りを仕掛け、為替
レートを維持したかったタイ政府に勝利した。
今回の外部投資家への資金返還は、本当に投資意欲旺盛のソロスが米政府のファンド規制に「白旗」を振ると
いう結末か?もちろんファンド規制も原因の一部と考えられるが、その後ろに、最も重要の狙い、ショート チャイ
ナー(中国売り)を隠しているかもしれない。
2010年11月8日ジョージ・ソロス氏傘下のヘッジファンド会社の香港事務所が世界トップの賃料を誇る香港の
中でも特に人気が高い国際金融中心(IFC)で正式に開業した。ソロス基金香港事務所が管理する資金規模は
80億から90億ドルに達しており、ソロス資金全体の規模の3分の1を占める。香港金融管理局はソロス基金の
香港事務所設立について、商業上の投資決定であり、「コメントはしない」と述べた同時に、「市場の発展と変化
をずっと見守っている。必要があれば必要かつ適切な措置を採り、香港金融市場の繁栄と安定を確保する」と強
調した。1997年10月、ソロス氏を筆頭とするヘッジファンドの通貨空売りを受けて香港ドルが危機に直面。米ドル
固定相場制(ペッグ制)見直しを迫られるまでに至ったが、香港金融管理局は10億ドル以上を投入し、香港ドル
を守り、変動相場制への移行を回避した。
ソロス氏への警戒心を持つのは香港だけではなく、中国(本土)もそうだ。中国の中央政府は貨幣と経済及び社
会の安定を目指しており、過去に何度も各国と衝突しながら巨額の財富を築いた同氏を必ずしも歓迎しないだ。
ただ、ソロス氏がすでに中国や香港で実績があるのも事実だ。中国本土の医薬品メーカー、四環医薬に4,000万
米ドルを出資しているほか、本土の大手銀行、民生銀行が昨年11月に香港上場を果たした際も5,000万~1億米
ドル投じたとされている。 皮肉なことだが、アジア通貨危機時の悪評についても、ソロス氏は中国中央テレビ(CCT
V)とのインタビューでは、その時の香港政府の対応について「評価」をしていた。まるで大喧嘩のあとでお前は弱くないねといっているみたいである。
ソロス氏のショートチャイナーは何時、どんな形で来るか分からないが、今回の外部投資家への資金返還は
全部運用資産のわずかである、積極的にショートで儲ける本性は恐らく変わってないだろう。彼がもうすでに万
全の用意をして、虎視眈々とチャイナーの弱みを睨み、チャンスを待っているかもしれない。
Robin
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