2011年、日米株式相場展望!
新年明けましておめでとうございます。本年も、東岳証券株式会社をよろしくお願いします。年初なので、今回は日米の2011年の株式相場の展望を考えてみたいと思います。
まずは日経平均の2011年の動向を考えてみたいと思います。2010年12月30日に東京証券取引所は、2010年12月20日から12月24日(12月第4週)における株券の投資部門別売買状況を発表しました。それによると、この週に外国人投資家が株を売った総額は2兆0576億6529万5000円なのに対して、買い総額は2兆0809億0812万7000円となり、差し引き232億4283万2000円の買い超しとなったそうです。これは先週から続いて八週連続の買い超しとなります。ちなみに個人・法人・証券会社はいずれも売り超しを継続しています。
12月20日から12月24日における各部門別の売買動向は次の通りです。
・法人……4854億0293万3000円/4642億3275万6000円(211億7017万7000円売超)
・個人……9626億3678万6000円/8721億4426万1000円(904億9252万5000円売超)
・外国人……2兆0576億6529万5000円/2兆0809億0812万7000円(232億4283万2000円買超)
・証券会社……750億5017万9000円/706億6414万8000円(43億8603万1000円売超)
(それぞれ売り/買い(差し引き))
また、直近15週間における外国人投資家の動向は次の通りです。
9月13日~17日……1355億7516万7000円買超
9月21日~24日……736億5535万5000円売超
9月27日~10月1日……458億8889万5000円買超
10月4日~8日……2931億4415万8000円買超
10月12日~15日……886億1081万9000円買超
10月18日~22日……1092億4774万6000円買超
10月25日~29日……368億4381万1000円売超
11月1日~5日……1884億6328万6000円買超
11月8日~12日……826億8519万6000円買超
11月15日~19日……1190億3295万4000円買超
11月22日~26日……124億8360万7000円買超
11月29日~12月3日……1182億6658万7000円買超
12月6日~10日……892億2040万1000円買超
12月13日~17日……1986億6793万2000円買超
12月20日~24日……232億4283万2000円買超
外国人投資家の買い越しインパクトの大きさが如実に出ているかと思います。日本株の未保有リスク、つまりファンドのアロケーションでの日本株の保有比率の少なさに対する修正買いが年明け以降も続くかどうかが一つの重要な視点になってくると思います。ただ、この点に関して、あまり懸念材料はないように思えます。その理由として、これまで債券や金に向かっていたマネーの流れが、先進国の株式に流入し始めており、投資先の企業の財務面としては日米企業ともにリストラクチャリングで健全な体質になっている点があげられると思います。特に東京株式市場は外国人投資家の比率が非常に大きいため、相場を押し上げるための大きな原動力として海外からの資金流入は必要条件になります。大台での値固め、特に11,000円、13,000円と言った節目に日経平均を押し上げる上で、外国人投資家の動向は2011年、特に注意深く見ていく必要があると思います。
次に2011年のアメリカ株式市場を考えてみたいと思います。私が注目しているのは四年周期に訪れる米国の大統領サイクルです。大統領の就任期間である4年間の株価の値動きに法則性があるというもので、大まかに説明しますと、任期1年目の後半~2年目の後半にかけては下落傾向にあります。任期2年目の後半~3年目の後半に力強く上昇し、任期3年目の後半~4年目半ばは穏やかな調整となる傾向があります。
リーマン・ショック明けからスタートしたオバマ政権も、おおむね大統領サイクルに沿った株価推移になっているといえるでしょう。NYダウの上昇率は大統領3年目(大統領選の前年)で好パフォーマンスとなるケースが多く、戦後から2007年までの16回のパターンの全ての同局面で上昇しております。その平均上昇率は18%に達しており驚異的な数字といえるでしょう。そのような背景には、選挙対策のため経済政策に言及しなければならず、有権者である米国国民の景気の先行きに対する期待を高めるためです。大統領選で国民の支持を得るためには、その期待に沿うように振る舞う必要があり、前年からそれなりのアピールをする必要があるためです。過去のパターンでは、財政に余裕があれば財政政策を発動し、景気悪化局面では大胆な利下げなどが実施されるケースが多いです。
足元ではFRBが大規模な金融緩和(QE2)を打ち出し、オバマ大統領がブッシュ減税の延長を決定したのは、その前段階ともいえるでしょう。大統領1期目の3年目は、2期目への意欲が強いとみられ、例年以上の経済対策が打たれると思われます。直近では、1995年のクリントン大統領期がITバブル、2003年のブッシュ大統領期が住宅バブルの基点となったことを考えると、2011年は環境バブルの基点になるかもしれません。ちなみに、過去の大統領選挙時のNYダウも平均5%近く上昇しており、その意味で直近の米国インデックスでロングポジションを保有する事に対する高値掴みの心配はあまりないかも知れません。
日米共に、ここ2年ほど、マーケットは混乱と低迷の『冬の時代』であっただけに、2011年は、これまでの冬眠から目を覚まし、力強く躍進する1年になることを願っております。
Ken