日銀が外為介入ー過去最大の規模
民主党代表選の再選後、菅直人首相の”初仕事”が円売りドル買いの市場介入だった。”口先介入”を繰り返しては市場に見透かされ、じりじり円高が進むという悪循環をひとまず断ち切った。15日午前10 時35 分、財務省
は為替市場で円売り介入を実施し、野田財務大臣がこれを正式に認めた。政府の為替介入は2004 年3月以
来、6年半ぶりである。
15日午前のドル円相場は介入直前の82 円88 銭から、一時85 円52 銭まで急反発している。相場の初期反
応を見る限り、ドル円の防衛ラインを守るというよりは、レンジ押し上げを狙った介入になっていると見受けられ
る。同日夕方からはロンドン、ニューヨーク市場でも相次ぎ円売り・ドル買いの単独介入に踏み切った。
15日午前のNY外為市場で円相場は急落して始まり、一時、1ドル=85.78まで下げ幅を広げた。介入額は1日当たりでは過去最大規模となる2兆円超に達したもようだ。日本の通貨当局による円売り介入をうけ、円売り、ドル買いの流れが続いている。日銀は介入で市場に出される円資金をあえて放置することで事実上の金融緩和につなげる。
円高に伴う輸出企業への打撃が和らぐとの期待から、15日の日経平均株価は大幅に上昇した。もっとも、今回の介入だけで円高に歯止めがかかるとは期待しにくい、円高の原因は日本より米欧にあるからだ。米景気減
速や欧州の金融不安に伴うドル安やユーロ安の結果として、円高が進んでいる。景気の支え役に外需を期待す
る米欧は自国通貨安を事実上容認している。
介入はひとまず効果を発揮した。ただ、欧米のみならずアジア諸国からの積極的な支持があるわけではな
い。介入で一息つく間に実効性のある成長戦略を打ち出せるかがポイントで、日本政府は円高圧力との持久戦
を強いられそうだ。
Robin