中国の日本国債買い:吉か、凶か | マーケットの今を掴め!FX・CFD東岳ライブ情報

中国の日本国債買い:吉か、凶か

  2010年上期(1~6月)の、中国による日本債権投資が、1兆7327億円の買い越しとなった。ほとんどが国債であるとみられます。6月単月の買い越し額は4564億円で、過去最高だった今年5月の7352億円は下回っていましたが、依然として高水準。買い越しは6カ月連続となります。年間買い越し額が過去最高だった2005年の2557億円をすでに7倍弱上回っています。中国政府が巨額の外貨運用で欧米資産から避難し、日本国債にシフトしていることと見なされています。


  中国の外貨準備高(外貨準備金)は世界一で、その額は2兆ドル(約200兆円)に迫るほどです。2006年辺り

までは日本が世界一でしたが、今やその日本の1.5倍近くにまで伸びています。特に近年、数値が激増していま

す。


  外貨準備金には二つの側面があります:


  1.対外債務の返済、輸入代金の決済のため。


  2.自国の通貨が経済危機や地政学リスクなどにより暴落した際に、外貨準備を使って自国通貨を買い支える
   (注:アルゼンチンや韓国などがデフォルト(国家破産)したのは、ヘッジファンドなどに投機目的で通貨を売    

    りあびせられ、為替レートが暴落した際に、それを食い止めるための資金(=外貨準備)が足りなかったこ 

    とが原因です。経済基盤が不安定な新興国にとっては、外貨準備金は自国の為替レートを安定させ、経

    済活動を支える為の準備資金なのです。)


  しかし中国の場合は、外貨準備は自国通貨である元の暴落に備えた準備資金という訳ではなく、人民元相場

の安値維持のため、元売りドル買い介入を続けて生まれた「副産物」なのです。中国では長年、輸出産業に有

利に働くように、元売り=ドル買いの為替介入を続けています。中国の中央銀行が元売りをすることで、人民元

の為替レートが元安に導かれ先進国、とくにアメリカへの輸出で強い価格競争力を持つことになります。人民元

の為替レートは1997年から2005年まで『1ドル=8.28元』近辺で固定されましたが、これは元売り=ドル買いの為

替介入をしたからこそ実現できたレートです。


  中国の膨大な外貨準備の多くは米国債です、これは中国にとって非常にリスク大きいです、理由は将来元

高が進めば、国債の満期時には為替差損を生むことになります。またアメリカ側からしても、通貨供給量を増や

してインフレ(=ドル安)へと誘導した方が、借金の返済(国債の償還)が楽なので、今後はドル安政策を取ってく

ることは間違いないと考えられています。中国はドル安への不満と米国への牽制から米国債を計画的に保有量

を減らして(2009年11月から連続4か月減少となったが、それでもなお中國は世界一の米國債保有国の地位を

維持)。


  通常では自国の通貨あるいは資産(国債など)が外国資本に買われることはその国の信用力があるというこ

とですが、皮肉なのは、中国の外貨準備の運用先は次の不祥事を起こしていたことです:


米国の国債を大量保有            ⇒    リーマン・ショックを起こし、世界範囲の金融危機の引き金

が世界範囲に拡大。                   になった。


米国資産は安全ではないと認識し、    ⇒    ギリシャ財政危機など「*PIGS」に属する国々の財政悪化。

ユーロ建て債券を増やしてきた  


比較的安全と認識されている日本     ⇒    15年ぶりの円高に突入、日経平均株価は今年の安値更新、

国債への切り替え                     一時8800円割れ。


この流れから見ると、おそらく次は韓国かもしれません、なぜかというと、中国もう韓国の国債を買い始め、すで

に保有高を倍以上に増やしているので・・・


*PIGS:ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペインの4カ国



Robin


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