”ドル高と同時に金高”--異例の事態に迫る | マーケットの今を掴め!FX・CFD東岳ライブ情報

”ドル高と同時に金高”--異例の事態に迫る

 最近金価格が上昇の勢いを強めている。国内では貴金属地金販売店の小売価格や先物取引価格が、1983年以来27年ぶりの高値を付けた。ギリシャ格下げなどで国家の信用リスクへの関心が台頭、信用リスクのない実物資産である金市場にマネーが流入していることと円安が進行していることが背景だ。東京工業品取引所の金先物価格は27日、取引の最も多い2011年2月物(期先)が一時、3515円と83年4月以来の高値となった。


 金価格の常識は「金はドルの代替」なので、ドルが強いときはドル建ての金価格は下落し、ドル安となれば金価格は上昇してきた。 しかし、現在、ドル建て金価格もオンスあたり1155ドルとの高値水準にあり、「ドル高は金安」ではなく、「ドル高でも金高」と常識に反した事態になっている。


 投資マネーの流れから見れば、多くの投資家は、アメリカの不景気や大量国債発行によるアメリカのソブリンリスクを嫌ってユーロを買ってきた。ところが、ユーロでもギリシャの財務問題でおしりに火がついてしまい逃げ出すしかなかった。しかし、逃げてきたアメリカに帰るわけにも行かず、日本はアメリカ以上の財政赤字で尚行けない。投資家はドルにもユーロにも円にも見切りをつけて、現物資産の金を買ったというわけだ。国家の信用リスクを背負いたくないと言うこと。つまり、「投資家は先進国の3つの通貨全てに不信感を持っている。」と言うことだ。


 金の流通市場は株式や債券に比べてもともと小さい。金に逃げ込んだといっても、投資家が全ての資産を金に換えた訳ではない。実態は、投資家が金も含めて投資をより分散させてリスク減少を図っていることだ。金が上昇しているからと言っても、これから純金積立あるいは金ETFを買いに行くことを考えるよりも、先進国株・債券等に偏った投資配分をせずに、より多くの資産クラスに分散投資してリスクを減らすことを考えたい。


Robin