中国GDPが上昇しても庶民に実感のない、そのギャップは? | マーケットの今を掴め!FX・CFD東岳ライブ情報

中国GDPが上昇しても庶民に実感のない、そのギャップは?

  中国の国内総生産(GDP)は2010年にも日本を上回り、世界第2の経済大国になる可能性が高まっている。

  1月21日に明らかになった中国の09年の名目GDPを同年の平均為替レートでドル換算すると4兆9090億ドル(約459兆5000億円)で、国際通貨基金(IMF)の予想を基に内閣府が試算した日本の09年GDPは5兆950億ドル。両者は急接近しており「日中逆転」の流れはほぼ決定的となりつつあるようだ。IMFによると、1999年の中国のGDPは1兆830億ドルで当時の日本の4分の1の規模にすぎなかった。2010年に日中のGDPが逆転する可能性は極めて高い。


  ウェブサイトである中新網によると、中国国民の1人当たりGDPは1978年の400ドルから2000年には800ドルへと倍増、さらに06年の約2000ドル、08年の約3000ドルへと、わずか数年間隔で1000ドルずつ増えてきた。そして2010年には4000ドルに迫る見通しだという。一方、これらの統計データは国民生活の実態をどこまで正確に反映しているか、また、中国国民はそれをどう受け止めているか。ウェブサイト「環球網」が昨年12月22日に発表したインターネット調査の結果による、綱民(中国語、ネットユーザー)の過半数(51.6%)は、国民1人当たりGDPは自身の生活水準とあまり関係ないと考えている。

  金城学院大学教授王文亮によると、国全体のGDPはなんとなくぼんやりとしたもので、個人として実感することは難しい。しかし、一度1人当たりの数値に直すと、それが自分の経済力や生活水準にぐっと近づくものとなり、経済学者以外の素人でも簡単に判断することができる。そういう意味で、国民の実感できる1人当たりGDPも中国の経済成長や国力を測る際に無視できないこととなるといえる。周知の通り、中国の高度経済成長は高い伸びの固定資産投資と順調な輸出産業に支えられている。特に輸出産業の急拡大は中国に莫大な外貨をもたらしている。そして実際、中国の輸出産業はイコール製造業といっても過言ではない。

  いま、Made In Chinaの製品が世界を席巻している。しかし、よく考えてみると、Made In Chinaは必ずしも中国企業が製造している製品とは限らない。それはただ製造国、産地は中国であるということを意味する。実際、Made In Chinaの主役は中国企業ではなく、外資系企業(外国企業および台湾・香港・マカオ系企業)である。しかも、付加価値の高い製品ほど、外資系企業が製造している製品の割合が高い。特にハイテク製品のシェアを多く占めるのがやはり外資系企業である。実は中国のGDPの約4割はそういった外資系企業が作り出したものである。この部分を除くと、中国のGDPのサイズはかなり小さくなる。

  

 もちろん、GDPから外資系企業の作り出した分を除き、さらに自国企業の海外での作り出した分を加えると、国民総生産(GNP)になる。一国のGDPとGNPは通常その間に開きがある。先進国では開きが小さく、GNPがGDPより大きい場合も多い。逆に、発展途上国では開きが大きく、GDPがGNPより大きい国も多い。特に外国資本の進出が激しい国ほどその差がより大きくなるのだ。こういったことがいったい何を意味するのか。GNPは自国企業が作り出した価値だから、自国のものと見なされてよい。しかし、GDPは外国企業の作り出した価値も含まれ、その分はほとんど外国企業が持ち出してしまい、自国に残らない。自国に残されるのは法人税と労働者の賃金ぐらいである。なので、一国の経済力や国民の生活水準をより実態にあった形で反映できるのは、GDPではなくて、GNPであることはいうまでもない。中国の場合、GDPとGNPの開きが大きく、かつGNPの規模がGDPのそれよりかなり小さいので、GDP統計を鵜呑みにしてはならない。


Robin


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