「靄と露=The Foggy Dew」という,古いアイルランド民謡に後世に歌詞を付けて,

 

英国700年の植民地支配に粘り強い抵抗を続け,度重なる征服者への反乱と無念の鎮圧を積み重ねながら遂に20世紀に入っての「復活祭蜂起=イースターライジング」で独立を果たしたアイルランドの歴史を題材にして,民族の決意と誇りの継承と顕彰を示す歌がある。

 

アイルランド人の著名な総合格闘家であったコナー・マクレガーの入場テーマがこの歌で,これは,祖国の歴史と伝統へ滾(たぎ)らせる誇りを胸に世界へ挑むというメッセージなのだろうと感じ,

 

やれ旭日旗だ日の丸だと実につまらない因縁をつけられるとスグにSNS上から削除する「わが?」商売第一・プライドゼロ・名ばかりサムライの情けない拝金アスリート達と比べてとても羨ましい思いを抱いた。

 

反日教科書への抵抗や,NHKが今も平気で海外に(英語でも)流し続ける「南京大虐殺の幻」,同じく南京百人斬りの汚名を卑劣極まりない浅海一男という毎日新聞の記者に着せられて無念にも処刑された3人の軍人の名誉挽回への社会運動に加わってから長い歳月が流れた。

 

その間,公立高校の南京虐殺記念館への修学旅行引率という名の洗脳を阻止する必死の試みにもまた名乗りを上げて時を費やした。

 

公務員としても国民としても全く多勢に無勢の戦いで,大河の中州から対岸を望めば雲霞の如き敵勢が犇(ひし)めき,しかもそのほとんどは征服者に卑屈に媚びながらお先棒を担いでいるあさましい「敗戦利得者共」という戦況が今日まで続く。

 

アイルランド史を読み進むうちにいつしか,ギネスビールのクリーミーな泡とアイリッシュウィスキーに親しむようになった。

 

かつてアジア諸地域に自らの力で成し遂げる独立を!と鼓吹し,その準備に邁進しながらアジアと共に汗と血を流した祖国は,まるで難産の末に子供を産み落とした母親のように力尽きてしまい,

 

皮肉にも自らが,独立自尊への長い道を建国以来初めての屈辱の中で歩まなければならなくなった。

 

アメリカが属国を管理するために作らせた政党である自民党は安全保障を含め総てを恥知らずにもアメリカに頼る,その植民地総督府である自民党に国民は総てを頼る。

 

老若男女問わず,祖国の独立を目指す長い長い戦いに朱に染まって倒れていったアイルランドの勇者達が残した民族の誇りと,

 

命を超える価値の存在を性根に刻み込もうとは決してせず,征服者が強いた政策にちぎれるほど尻尾を振っては敵にすら苦笑いされている卑劣で醜い奴隷犬達との対比の辛さに耐えられない時にいつも,

 

この,哀しくも美しい鎮魂の歌が奏でる誇りある者達の声に耳を傾ける。

 

独立国家アイルランド始まりの場所――「ダブリン中央郵便局」 

 

イースター蜂起とは1916年の復活祭(イースター)週間にアイルランドで起きた武装蜂起のことである。

 

蜂起そのものは1週間で鎮圧されたものの、元来この蜂起は武力勝利を目的としたものではなく、自らの命を投げ出すことでアイルランド人の独立精神を呼び覚ますことが最大の目的であった。

 

蜂起指導者たちの願いは死を以て成就し、アイルランドはこの事件以降、700年の英国支配からの独立へ突き進んでいく。