沖縄の知事選が終了した。
大差が!民意が!政権に打撃が!と例によってやかましいが,大手メディア以外の記事をたんねんに読むと,デニー知事に喜んで投票した県民ばかりではなかったことが察せられる。
「チッ」と舌打ちしながらも,なんだ政府のこのやり口はと,怒りと抗議を誇りをもって示すために投ぜられた批判票も多かったように感じる。
デニー知事はかつて,米軍を去らせた後は自衛隊を配置するしかないとの,しごくマトモな持論を公にしていた人物だが,
今回の知事選に臨んでは,こちらが戦う構えを解けば,どこの国とも事を荒立てないで平和裡にやっていけるといった,いわば女学生の作文的な言辞を弄し,現実との遊離が甚だしいように見受けられた。
おめでたい者どもの票を取って勝つための迎合なのか,考え方が変わったのか,そのあたりは御本人でないからなんとも言えないが。
政権側は,愚にもつかぬ御機嫌取りや「金目での釣り」,国家安全保障上で沖縄が果たす重要性を真正面から訴えない姑息な戦術など,誇りある者なら到底容認しがたい愚かなふるまいを繰り返し,結果として,沖縄のプライドの壁に撥ね返されたのではないか。
本土に住みつつ,沖縄を思えばいてもたってもいられない的な,おためごかしの同情を弄ぶ者は多いが,そういった方々が,自らの住む地域にアメリカ軍を駐留させようと強く求める例は寡聞にして知らない。
元来が,国家安全保障は政府の専権事項だから,まず国家戦略の大綱と,それに応じた部隊配備のおおまかな全体図を必要度と共に示し,配備先の自治体に協力を求めるべきで,
日本国防衛の必要上,当該自治体がどういった貢献度を持つかを直截に示して,過重な負担とならないための最大限の配慮をしつつ,整斉と配備を進めていくべきだ。
これは,諸外国にあっては至極あたりまえのことで,国防上の必要性が自治体の「民意」によって妨げられ,妨害を受けるなどありえない というのは,数年前に,欧米勤務が長かった時事通信社の支局長殿から直接に聞いたところだ。
「マスコミの仲間内では言えないし,もちろん記事にはできないけれど,諸外国での軍隊配備は,国家安全保障上の必要ということで迅速に決まるし,自治体側もまた,国防へ貢献できることを名誉と捉えるのが普通ですよ」と。
沖縄の現行配備が過重ならば,九州など隣接自治体へアメリカ軍を適宜移していくべきで,同じ国民として,外国軍の駐留による悲哀や危険を共有していくべきだと以前から思う。
別にあんな星柄のパンツの旗など好きではないし,かといって,アメリカ兵だからといって全否定する気もないけれど。
「怒りのこぶしを突き上げて」アメリカ軍への訓練場提供に反対の気勢を上げる暇があったら,憲法の精神があ~と,何の実効性も期待できないことが証明済の「呪文」を唱える暇があったら,少林寺拳法を学んで錬成を積んだ方がまだいいだろう。
結局は,ゆくゆくはアメリカ軍のほとんどを国土から引き取らせて新国軍を創り,地元の若者を中心とした部隊配置を行い,自らの手で自らを護るという世界の常識を取り戻し,必要やむをえない戦争ができる国造りを急ピッチで進めるしかない。
今回の選挙で,もしも政権が推す候補が,そして政府が,こういったことを真正面から振りかざし,堂々と颯爽と,国防への貢献と政府として絶対に譲れない責任を訴え,併せて,対米自立を踏み出す一歩をここから記そうと呼びかけていたなら,ある程度は違った結果となっていたかもしれない。
しかし,美味しい軍事攻撃目標の原発をズラリと並べていながら核シェルターの整備も全くしないし,自衛隊の駐屯地や基地をドローン攻撃されても110番をするしかないし,せっかく戦時中の防空壕が発見されても「再活用」する気は毛頭ないし,
貯水池等や通信ケーブルポイント,送電結節やガス等のライフラインへの「歩く殺しの機械達」によるかく乱攻撃への備えと実戦的訓練も全然なしで,軍事学上に全く存在しない「専守防衛」という珍妙な小役人の気休め言葉が大手を振って氾濫している現状では,
そして,プロフェッショナル達が,保身と安泰のためにダニ役人の真似っこを平気でしているようなことでは,拉致も領土も,何もかもがアメリカ頼みで,指をくわえて「何かしたフリ」を続け,国民に忘れさせ,諦めさせることしかできないのだが。
街角にアメリカ兵が立哨し,たとえ軍用機が墜落してもアメリカ軍が規制線を張って日本人は一歩も入れず,アメリカ軍の都合で要所要所に装甲車が布陣し,傍若無人に軍用車が走り回り,抗議する日本人は問答無用で撃ち殺すといった光景が全国で見られるようになって,
入管せずに横田基地から日本に降り立ち,あまつさえ,自衛隊員まで呼びつけて(情けない!)演説をぶったトランプの無礼千万なスタイルが当然のこととして定着し(親密らしい?シンゾー総督は抗議すらしなかった)
自分達はアメリカの植民地に生まれ育ったのだという現実を嫌というほど見せつけられなければ,日本人の魂に火は点かないのかもしれない。
しかし,悪辣な統治に長けたアングロサクソンは百も承知だろう。
いくら「パールハーバーを忘れない」と言われても「ヒロシマ・ナガサキを忘れないよ」と言い返せもしない腰抜けばかりだと思っても,70年以上かけての占領教育で念入りに去勢した民が本来持っている誇り高い魂にわざわざ点火して,厄介なトラブルを頻発させるのは得策ではないことを。
なにしろ白い悪魔達の植民地経営は,わが国と違って年季が入っている。
白いのは,おも白い恋人 だけでたくさんなのだが!?
わが国にもかつて存在した,良い意味で使われた方の「悪党」が,今ほど必要とされている時代はない。
宗主国の懐深く入り込み,その悪辣さの上を行く手練手管で,極秘裏に敵の喉笛を切り裂く手段を模索し,ひそやかに準備しながら,長い時間をかけて対等を手に入れていく。
生まれ代わり死に代わって,楠木が足利を執拗に狙い続けたような,いつかは必ずという,「水に流さない」執念に裏打ちされた独立への持久戦の真っ最中なのだと思う。
それは,現代のローマ帝国を衰退させるために,古き祖国の名において挑まれる長い戦いに違いない。
戦争ビジネスをバックアップさせるために日本人の血を流させる。まるで古代ローマの属領で編成された「補助部隊」