JRグループのダイヤ改正は12月の第3週金曜日に発表されるのが通例ですが、今年は第4週金曜日の22日に発表されると思います。なんとなくです。

追記)→どうやら15日みたいです(汗)

コロナ禍以降のダイヤ改正はサービス削減の内容のものが多く、楽しみに待つものでは無くなった気がします。今回取り上げる常磐線も例外ではなく、2022年3月に大鉈が振るわれて利用者的には厳しいダイヤとなってしまいました。


本題に入る前に、コロナ禍以前の常磐線のダイヤと直近3年のダイヤ改正内容を振り返ります。お急ぎの方はお手数ですがスクロールにて下部に飛ばれてください。

本記事では列車・電車を以下の通り区別します。なお当記事ではあまり変化のない緑快速には主眼を置かず、区間も品川〜土浦が中心です。土浦以北はあまり詳しくないので本記事で触れることは少ないと思います。

特急列車→特急

普通列車→青快速

快速電車→緑快速


もくじ

・コロナ禍以前(〜2021.3)のダイヤ

・コロナ禍以降のダイヤ改正

・2024年ダイヤ改正予想

・結び

(本当はリンクで飛べるようにしたかったのですが...HTMLは専門外なのでできませんでした...)


 コロナ禍以前(〜2021.3)のダイヤ

【特急列車】

特急列車は現在と同じように品川〜いわき間のひたち品川〜勝田・高萩間のときわが毎時1本ずつ運転されるのが基本となっており、朝の上りと夜の下りにときわが通勤特急的役割で増発されていました。

朝の上りを除いてパターンダイヤが組まれており、特に上野時点では00分発がひたち、30分発がときわと分かりやすいダイヤとなっています。これは現在も続いており、数分の違いや発着駅・停車駅の違いがある列車もありますが概ね同じ時刻で運転されています。列車本数の多い朝の上りのみ変則的となっており、特に取手以南は緑快速・青快速の合間をノロノロ走る形です。


【青快速(普通列車)】


青快速は日中毎時4本(品川〜土浦2本・上野〜勝田2本)運行されており、うち品川〜土浦間の1本が特別快速でした。両数も品川発着が全時間帯15両、上野発着が10両と運行形態ごとに区別されていました。そして現在とは異なり日中も土浦以北でグリーン車の営業がありました。

特別快速は下りが品川9〜14時(55分発)、上りが土浦発10〜15時発(00分発)と1日6往復運転されていました。下りはすぐ後ろを上野始発の青快速が走り、上りは北千住まですぐ前を上野行き青快速が走るダイヤは現在も引き継がれています(9時台は違います)。

平日朝の上りは土浦7時台が8本運転、柏7時台は緑快速を加えると18本運行で、列車間隔は平均3.3分でした。


 コロナ禍以降のダイヤ改正

・2021年3月

コロナが認知され始めて約1年となったこの年の改正では、特にメスは入りませんでした。変わった点は工事時間確保の為に最終の勝田行の時刻が20分ほど早まったことぐらいです。改正内容を考えていたであろう2020年秋頃は、需要は戻るという考えをまだ持っていたのでしょうね。


・2022年3月

さてみなさんご存知の首都圏各線に大鉈が振るわれた2022年改正、常磐線も例外ではなくダイヤ改悪と言われるくらい利用者に厳しい改正でした。

本項は後世に語り継いでいくためにも、知っている限りの情報を詰め込むため内容がかなり長くなることをご了承ください。


【特急列車】


用 : JR東日本水戸支社2022年ダイヤ改正プレスリリース

この改正では朝上りと夜下りのときわが一部削減されました。窓側が9割埋まる程だった夜の土浦行特急2本、通勤時間帯の上り2本など平日・休日共に合計5本が削減され、これによりひたち野うしく・荒川沖の特急停車回数が大幅に減少しました。

用 : JR東日本水戸支社2022年ダイヤ改正プレスリリース

今回ひたちの本数に増減はありませんでした。水戸までの需要は高いですし毎時1本は死守したいのでしょうね。

プレスでは品川発着が増えたことをアピールしていますが、このカラクリは上野東京ラインの減便です。普通列車の減便で生じた隙間にひたち・ときわのスジを通すことで上野〜品川間の延伸を実現しています。隠れた犠牲ですね。


【青快速(普通列車)】

青快速は特急以上に大鉈が振るわれました。まずは朝ラッシュ帯からご紹介致します。

用 : JR東日本水戸支社-2022年ダイヤ改正プレスリリース

朝ラッシュ帯は15両編成の上野行きが2本削減されました。結果7時台に土浦を出る青快速は8本から6本になり、列車間隔が広がっています。

上野行き2本の減便により、通勤客はより品川行きに集中するようになりました。特に土浦6:58発の1132M品川行きは特急待避の影響でひたち野うしく〜取手間で先行と14分の開きが生じる上に、減便・テレワーク解除によりひたち野うしくで全座席が埋まってしまう超混雑列車となってしまいました。それとは対照的に7分後の334M上野行きは先行に客が吸われることで、龍ケ崎市でも座れるレベルの乗車率が暫く続きました。


引用 : JR東日本水戸支社-2022年ダイヤ改正プレスリリース

日中時間帯の変化点はやはり土浦分断ですね。下りは土浦発9時台から14時台、上りは土浦着11時台から15時台までで運行形態が土浦で分断されました。この時間帯の土浦以北は全部5両編成での運転となり、グリーン車付きの10両はこの時間帯に土浦以北へ乗り入れなくなりました。これによって15両のうち後ろ10両が土浦で切り離しとなる運用の増加や、

前5両→勝田行き・後10両→折り返し上野行き

といったいわゆる"泣き別れ"運用が発生し、改正直後は誤乗が問題となりました。


また土浦分断と同時に行われたのが土浦以南の減車&減便です。

引用 : JR東日本-2022年ダイヤ改正プレスリリース

この一見利便性を高めたかのようなプレス内容をご覧ください。青快速の純増かと思いきや、実際はただ上野発着を品川まで延長しただけ。

日中全ての青快速が東京・新橋・品川へ直通するようになった代わりに、毎時4本だった青快速は特別快速の減便によって毎時3本に減便されたのです。これによって取手以北で先行と20分以上間隔が開く列車も現れ、利用者の回復で日に日に混雑が増していく結果となりました。


さらに輸送力適正化の名の下に減車が行われ、必ず15両で乗り入れていた品川に10両で乗り込む列車が大量発生しました。

この減車による問題点は、日中の過半数が10両になったことでした。10両の品川行きは9時台の上りから発生し、特に土浦10時発の特別快速3156Mの後は4連続10両が来る始末。朝ラッシュ後の上り青快速は柏や東京都心への買い物客などの行楽需要が高く混雑するにも関わらず、減らすことしか頭にないJR東日本は需要ガン無視で減車を強行したのです。

お陰で休日はいつもこの有様です。特に3・6号車はグリーン車の存在を知らず4・5号車位置に並ぶ人々が流れてくることもあり、乗車率250%(身動きが取れない)も夢でありません。

減車により時刻表はこの有様となりました(11:32発は表示されていませんが10両です)。昼付近でも品川始発のため東京で座席が埋まってしまい、上野・日暮里からでは座れないことも増えてしまいました。

さらにこの10両たちは、帰宅ラッシュが近づく15・16時台にも平気な顔をして都内へ現れるようになりました。列車番号と時刻を以下に記載します。

1185M 品川15:17→上野15:32→土浦16:44

1187M 品川15:35→上野15:51→土浦16:59

1193M 品川16:17→上野16:32→土浦17:44

東京までに座席が埋まる車内に上野・日暮里から大量の乗客が乗り込むため、これらの列車は混雑が常態化するようになりました。16時台の最混雑列車となっていた1193Mはのちに15両化されますが、15時台の2本は現在も増結される様子はありません。


悪いところばかり上げ続けるとタチの悪いクレーマーみたいになりますので、本改正のGoodな内容もご紹介します。それは16時台の下り特別快速3189Mの新設です。(実際は格上げなんですけどね)

従来の下り特別快速は上野15時11分発が最終でしたが、本改正で1時間繰り下がって16時台にも走るようになりました。この3189Mは運行時間帯の割にあまり混んでいない(多くても座席が埋まる程度)上に、仮に間に合わなかった場合はこちらも新設の上野始発青快速391Mが救済してくれるので、大学帰りにかなりお世話になっています。

3189M新設の裏で特別快速は1日2往復の運行となってしまいましたが、ぶっちゃけ昼間の列車は使っていなかったので個人的にはまあいいかという感じです(^^;;


・2023年3月

引用 : JR東日本水戸支社-2023年ダイヤ改正プレスリリース

さすがにクレームが多かったのか、運用の組み替えにより日中青快速で15両の割合が増加しました。都心12時台到着や16時台の最混雑列車であった品川16時17分発1193Mなど日中の混雑列車に加えて、夜の混雑列車であった441Mも15両化されました。


また前年改正で発生し、誤乗が問題になっていた土浦での"泣き別れ"運用が解消されました。そしてこの件と因果があるかは不明ですが、土浦分断の列車が上下1列車ずつ増加しています。

引用 : JR東日本水戸支社-2023年ダイヤ改正プレスリリース

本改正では青快速の削減は21時台の下り1本に留まっています。また朝時間帯は列車間隔調整や取手以南での緑快速との運行順序入れ替えなどが行われ、増発を避ける形で混雑緩和を図っています。つまり増発は1本もなかったということです。

特急に関しては通勤時間帯の上り4本と夜下り1本のときわが新たに柏停車となり、これにより全てのときわが柏に停車するようになりました。

まあ平日の56号と58号に関してはほぼ龍ケ崎市までに座席が埋まってしまうので、新規停車の恩恵を受けられる人はごく僅かだと思われます...。


 2024年ダイヤ改正予想

ようやく本題に辿り着きました。ここまでお読みいただきありがとうございます。過去の改正は軽く振り返るつもりだったのですが、2022年を書き始めた時に不満が募ってきて結果的に膨大な内容となってしまいました(^^;;


私としては、ぶっちゃけ特に何も変わらないと考えています。近年の改正内容を見るに、どこもサービスを縮小していく方針のようなのでほとんど期待はしていません。

しかしこれで締めるのは超タイトル詐欺なので、本項ではやや現実味があることを予想として挙げていこうと思います。

なお確定事項として土浦ー水戸・勝田間ワンマン化がありますが、後ほど取り上げます。


1.朝時間帯の緑快速増発

引用 : JR東日本-2023年10月列車混雑状況(常磐線)

コロナ禍真っ只中と比べると、2023年に入ってから常磐線の利用者は明らかに増加の一途を辿っています。テレワーク・オンライン授業の解除で再び戻ってきた利用者、コロナの落ち着きで戻ってきた行楽需要など増加要因はいくつか考えられます。

JRはオフピーク定期券を通してオフピーク通勤を広めようとしていましたが、その働きかけも虚しく再び都心8〜9時到着の列車に利用者が集中するようになりました。しかも混むのは品川行きばかりではなく上野行きも同じです。

需要としては 品川行き>上野行き となるのが普通ですが、朝の品川行きの需要が高すぎて上野行きに利用者が流れてきている(=品川行きに積み残されている・品川行きを敬遠している)ことが予想されます。


しかし上野から乗り入れる上野東京ラインは平均3分隔で運行しておりこれ以上の増発は不可能と思われますので、次改正では緑快速上野行きが1〜2本増発されると考えています。

増発対象が青快速でない理由は混雑区間が取手以南であること、乗務員に加えてグリーンアテンダントの増員が必要になることが理由になります。(日中でも天王台や取手で降りてしまう以上、人は足りてないでしょう)

結局のところ増発するかしないかは本社が決めることですが、現場としては適切な列車本数を設定することを求めているようです(参考)。


2.土浦以北の一部減車

労組資料により、2024年3月から現行の水戸〜いわき間に加えて土浦〜水戸間でもワンマン運転が始まることが明らかになっています(参考)。これにより土浦以北の10両ツーマン→5両ワンマンとなる運用が少なからず出てくると考えています。

とは言いつつも通学需要を考えると9時〜15時以外の時間帯で5両ワンマンは(良心があれば)やらないと思いますので、減車があるとすれば水戸9時台発の現行1160Mと1162Mぐらいかなと思っています。ここで私が淡い期待を抱いているのが、土浦以北5両の品川行きの誕生です。

現状の土浦における増結は、以北から来た10両に土浦始発の5両を連結する形が取られています。私が考えているのはこれの逆で、土浦始発の10両に以北からの5両を連結するという形です。実例があるとすれば、新幹線盛岡駅でのはやぶさ6号(盛岡始発)とこまち6号(秋田始発)の連結ぐらいしか思いつきません。

そもそも土浦分断は輸送障害時の遅延波及防止が目的の1つにあると思われますので、土浦以北からの遅延を持ってきがちな1160M・1162Mはこの形の運行に変えて欲しく思います。遅れてきた場合は5両を見捨てて10両で発車すれば土浦以南は定時で運行できますし、15両にもなってメリットは多いでしょう(運用面はガン無視です)。

余談ですが、前に列車を増結する際の放送はしっかり用意されています(リンク先動画3:44〜)。


3.特急の一部復便


2022年改正で毎時1本となってしまった特急ときわですが、平日18時台の73号は連日満席の状態が続いています。

今年8月の平日5日間で73号乗車率と降車駅を調査したところ、5日間の調査で見られた空席はたったの1席でした。降車駅も柏が平均50人、土浦までが約240人と約40%の乗客が土浦までに降りていることが分かりました。

また19時台運行の75号も約40%が土浦までに降りる傾向が見られましたが、上野発車時点での空席が平均80席となっており73号ほどの需要はないようです。

引用 : JR東日本水戸支社-夏臨増発プレスリリース

この状況を見た上の判断なのか、7月以降の三連休の前日夜に臨時特急ときわ97号と送り込みの96号が運行されるようになりました。

97号は当初龍ケ崎市・牛久を通過するダイヤとなっており、主に土浦以北の利用者をターゲットにしていたものと思われます。

引用 : JR東日本水戸支社-秋臨増発プレスリリース

しかし10月運転分からは通過していた龍ケ崎市・牛久にも停車するようになり、73号で拾いきれない近距離利用の需要も拾う方針に転換したものと思われます。

さらにさらに12月以降は冬の臨時列車として毎週末の運転にまで昇格します。ここまできたらさすがの水戸支社も土浦以南までの特急需要の高さを認知しているということですから、次改正で夜の上野始発特急を戻すしかないですよね。ということで、上野18・19時台の下り特急の復便を期待しています。

なお2022年に特別快速が6往復から2往復に減らされたことで「特別快速は次の改正で廃止だ」などと仰る方を未だに見かけることがありますが、これは95%有り得ません。上りの2本は需要が高く平日は取手まで、休日は龍ケ崎市までに座席が埋まりますので、稼ぎ頭として当分は残すでしょう。また下りの2本は取手以北の学生輸送を担う側面や案内貼り替え等の手間もありますので、消すメリットはあまりありません。


 結び


私は大学のレポート・発表資料等において前置きや現状説明を長く書いてしまう癖があり、本記事も結論は薄いのに現状説明は長いものばかりになってしまいました。やや私情も挟まっており客観的な記事とは言えませんが、予想という一種の娯楽としてご覧いただけていれば幸いです。


コロナ禍が明けて以降、山手線や銀座線、嵯峨野線など鉄道の混雑が問題視されることが度々起きています。国内旅行やインバウンドなど需要の回復に伴い旅客収入がコロナ禍前の9割近くまで回復しているところも多く、むしろ混雑が増している路線・列車も見受けられます。

2024年のダイヤ改正はコロナ禍が明けて戻ってきた需要にどう対応するかで明暗が分かれていきそうです。


長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。