<ソロモン王>

ダビデ王の子ソロモン王は、紀元前965年ころから紀元前925年ころまで王位に就きます。ダビデ王が版図の拡大に力を注いだのに対して、ソロモン王は経済的な発展に力を注いだといわれています。諸外国との交易を拡大し、銅山を開発して、金属精錬などの事業も興しました。このソロモン王の時代が、ダビデ王の時代にもまして、王国が最も繁栄した時代であるといわれます。「ソロモンの栄華」といわれる時代が到来したのです。

 

このソロモン王の時代に、エルサレムのシオンの丘に、最初の壮麗な神殿が建設されました。のちに第一神殿と呼ばれるようになる神殿の完成です。また、この時代に、ユダヤの人々の歴史が編纂され、彼らの起源に関する物語などもこの時期に創られたといわれています。それらの作品は、やがてユダヤ教徒の聖書であるトーラーが成立する際に参考にされ、トーラーの各所に埋め込まれています。

 

ソロモン王によって、統一王国に輝かしい繁栄がもたらされたのですが、それを支える民衆にとっては大きな負担になりました。ソロモン王の出身部族であるユダ族を優先するやり方にも不満が出ました。中央と地方の格差や、支配貴族と一般民衆との格差を生じたことに対しても不満が出るようになりました。