1.台湾の故宮博物院

今年は辰年ですので、辰に焦点をあてて、3月初めに訪れた台湾の故宮博物院で確認してきたことをお話しします。

 

台湾の故宮博物院は、展示空間が広大なので、焦点を絞らないと散漫になって何も心に残らないということになりかねません。私は今回の訪問では、主に陶磁器の展示室を中心に見学しました。そして、陶磁器に描かれている龍の図柄をことごとく写真に収めてきました。龍の図柄に焦点を当てたのは、以前から確認したいことがあったからです。私が確認したいことというのは、龍の爪は何本かということです。

 

   

 

2.辰は龍で、皇帝のシンボル

今年の干支である「辰」というのは、日本ではタツノオトシゴで表現することもあるのですが、本来は「龍」のことです。そして、龍というのは皇帝の象徴です。ですから、龍は聖なる動物です。もっとも実在の動物ではないので架空の動物ということになります。十二支の動物の中で実在の動物でないのは辰=龍だけです。もっとも、中国の伝統では、龍も実在の動物ということになっているのかもしれません。

 

   

 

3.龍の爪がポイント

龍は皇帝のシンボルですから、一般庶民は龍の図柄を用いることができません。皇帝の許可がなければ龍の図柄を用いることはできないのです。そして、龍の図柄の中でもとくに皇帝だけが用いることができる図柄は、5本の爪を持った龍です。龍の図柄で重要なポイントは爪の本数なのです。

そして、中国皇帝の支配秩序に与していた琉球国王は、3本爪の龍の図柄を用いることが許されていました。同じく、中国皇帝の支配秩序に入っていた朝鮮国王も3本爪の龍が許されていました。したがって、琉球国王と朝鮮王朝は、中国皇帝から見れば同格だったのです。じっさいには隠れて5本爪の龍も用いていたようですが、公式に許されているのは琉球国王も朝鮮国王も3本爪の龍です。

 

   

 

4,陶磁器に描かれていた龍の爪

故宮博物院に収められている収蔵品は歴代皇帝が用いていたものです。したがって、そこに展示されている陶磁器には5本爪の龍が描かれているはずです。そのことをじっさいに確認したかったのです。実際に展示されている現物を見てみると、案の定、龍が描かれているものはすべて、5本の爪を勢いよく広げた素晴らしい龍の図柄ばかりでした。

知識としては知っていたのですが、じっさいに実物を見ると1点1点の展示物の素晴らしさが伝わってきます。

 

今回の故宮博物院訪問は時間があまりとれなかったのですが、有意義な訪問になりました。また機会があれば、見学のテーマを決めて訪れたいと考えています。