2013年12月3日、大阪市のボディメーカーコロシアムで行われたプロボクシングWBA・IBF世界スーパーフライ級王座統一戦がIBF王座の移動について物議を醸しています。
今回の争点は計量超過で失格となったソリス選手に亀田大毅選手が敗れたにも関わらず事前の報道とは違い(亀田敗戦ならIBF王座は空位)亀田選手の王座保持になったということが日本ボクシングコミッション(JBC)の見解と違うということのようです。
ただ、従来の亀田3兄弟問題と同じく感情論が先行することが多いので、少し問題を整理してみたいと思いました。
そもそも今回問題となっているIBF王座のことですが、負けた亀田選手がなぜ王座を保持しているのかという点が世論の疑問を払拭できていない気がします。
このボクシングのタイトルですが、今回、WBAとIBFの「王座統一戦」と銘打っているところに混乱のひとつがあるのではないでしょうか。今までWBAとWBCの主要2団体の試合しか行われてこなかった日本国内では複数団体の統一戦は稀でした。
単一団体であれば王者1人と挑戦者1人の争いですから、シンプルですが、今回は王者対王者です。
では、このタイトル戦がどういった構造であるかを考えてみますと…
WBA王者のソリス選手にWBAタイトルがない亀田選手が対戦するわけですから
王者:ソリス vs 挑戦者:亀田
IBF王座は逆に亀田選手が王者でソリス選手にIBFタイトルがないので
王者:亀田 vs 挑戦者:ソリス
となるわけです。
そして、今回の混乱をもたらしているもうひとつの要因であるソリス選手の計量超過による失格ですが、王者が計量失敗などによる失格となった時点でタイトルは剥奪されますので、試合が始まった時点でWBA王座は既に空位となっていたわけです。
この場合、挑戦者である亀田選手は計量パスしていますから挑戦権はあるわけで、結果、亀田選手が勝てばタイトル獲得ですがソリス選手は勝っても既に違反により王座陥落しているわけですからWBAタイトルは空位となります。これだけであれば、今回の試合はソリス選手勝利によるWBAタイトルの空位で何も問題はないですね。
そして、問題のIBFタイトルです。今回は王者の亀田選手にソリス選手が挑戦したので、要は挑戦者が計量失格になった場合のタイトルの扱いをどうするのかに最大の難点がありました。
私が見てきた限りでは挑戦者が失格となった場合、勝っても「失格」ですから挑戦者はタイトル獲得はできません。かといって、計量規定を守ったチャンピオンが違反した挑戦者に負けたからタイトル陥落というのでは、体重による厳正な管理の下で行われるボクシングというスポーツの公平性が失われますし、これでは階級別に分けているの意味がなくなります。ですので、IBFタイトル戦については、ノンタイトル戦とすべきだったのです。
ノンタイトル戦(タイトルが賭かからない試合)であれば、チャンピオンが負けてもタイトルの移動はありません。
ここに今回の最大の問題があり、ソリス失格時点でタイトル移動がなくなった試合をIBF側が「タイトルマッチ」としたことがそもそもの間違いと考えられます。
今回、この王座の扱いについて「知っていたかどうか」で、なぜかJBCと亀田側の法廷闘争にまで発展しそうな「内戦」の様相を呈していますが、IBF王座を亀田プロモーションが管理しているわけではないので、やや的外れな争いという感が拭えません。
本来であれば、ノンタイトル戦とすべきところをタイトル戦のままにしたというIBFの運営上の「怠慢」が原因ですので、訴えるのであればJBCはIBFを訴えるべきと個人的には感じますが、事実上そのようなわけにもいかないでしょう。
WBA・WBCに加えて今年からせっかくWBOとIBFが日本国内に加わって日本ボクシング界活性化への期待が高まる中、このような水を差すような問題が起こったことは残念でなりませんが、これが尾を引くことなく、広く日本国内のボクシング興業が盛り上がることを願って止みません。
スポーツメモラビリア専門店 メモリアルフィールド