数年前に
あるボランティア活動で
ダウン症のゆきちゃん(仮名)
という5年生の女の子と出会いました。
ゆきちゃんは
言葉をうまく話せませんが
純粋で人なつこくって
いつも目をキラキラと輝かせていました。
ゆきちゃんは
読みたい本があるときに
一生懸命その本のタイトルを
言おうとします。
でも、音がうまく出せなかったり
そもそも覚えていたタイトルが
違っていたりして
いつも、もどかしい思いをします。
文字で書いた方が
伝わりやすいのに
ゆきちゃんはいつも一生懸命
言葉で伝えようと
何度も何度もチャレンジします。
私も一生懸命
ゆきちゃんの言葉を理解しようと
じっくり耳を傾けて
「これかな?」「あれかな?」
と何度も質問をしては
「ちがう!」と言われます。
そうして5分も10分もかかって
ようやくお目当ての本を1冊
見つけることができたときの
ゆきちゃんの嬉しそうな顔は
今でも忘れることができません。
本を探すと言う目的だけなら
他にも方法は色々ありました。
ゆきちゃんとの付き合いが長くて
ゆきちゃんの意図を理解して
サッと本を見つけてくれる
勘のいい人もいました。
でも、ゆきちゃんは、会う度に
わざわざ勘の悪い私のところに来て
言葉で自分の気持ちを
一生懸命伝えようとします。
ゆきちゃんのひたむきさは
毎回私を感動させ
自分の言葉で伝える喜び
というものを教えてくれました。
もしも私がゆきちゃんだったら
「どうせ伝わらない」とか
「面倒くさい」とか思って
喋ることを諦めて
しまう気がします。
でも、分からないなりに
理解しようと耳を傾けてくれる人がいたら
やっぱりちょっと頑張ってみようって
思えるのかな?
ゆきちゃんとの出会いを通じて
改めて
子どもの幼児期を思い返してみると
言葉を覚え立ての頃は
子どもの真意が伝わらないことも
たくさんあったことに思い出しました。
言い間違いもいっぱいあって
「アンパンマン」を
「パンパンマン」
「あいさつ集会」を
「あいかつしゅうかい」
「ぶろっこりー」を
「ぶっころり」などなど
皆さんもこんな言い間違いを
1度や2度は聞いたことが
あるのではないでしょうか?
大人はこんな言い間違いを
「かわいい」
とは思っても
いちいち正しく言えるまで
言い直させたりはしません。
もしもそんなことをする親がいたら
子どもは喋るのがいやになって
しまうでしょうね
なぜ間違いを
見逃せるのかというと
「こう言う言い間違いは
よくあることで
そのうち自然に修正される」
と知っているからですよね。
ところが、こと英語になると
多くの大人がそのことを忘れて
我が子の発音を言い直させたり
細かい間違いを指摘したりしがちです。
私の教室では
文字を読めない時期から
絵本の暗唱(なんちゃって読み)をしますが
文字情報がないと
結構、細かい部分を間違えて
覚えていたりします。
音も微妙に違っていたりするときもあります。
でも、それをいちいち細かく
訂正せずに
子どもが聞き取った内容を再現したことを
褒めてあげられると良いと思います。
日本人は特に
完璧主義の親御さんが多い様に感じます。
「間違えたままインプットされたら困る」
と言う思いから
親が手取り足取り
分かりやすく教えたりします。
この親御さんの愛と教育熱は
大いに尊敬に値するし
とても有り難いです
確かに、そうすれば
間違いなく読めるし
暗記スピードも上がるのですが
ものすごい日本人英語
になってしまう上に
いつまでたっても
英語を聞く耳が育たない
という事例も多いです
そうなりたくなければ
完璧主義は捨てて
半分でも60パーセントでも
再現できる音があればいい!
と割り切ることが大事
継続的にinputしていけば
自然と誤りは訂正されていきますので
そんなに心配しなくても大丈夫です。
お子さんが困っていそうなときは
さりげなく言い直してあげるのはOK。
でも決して、
否定したり、言い直させたり
しないでくださいね。
お子さんの発語に耳を傾け
少しでもできたことを喜んであげると
お子さんは安心して
英語を口にするようになっていきます。
娘3才のころの絵本暗唱の様子です。
画質・音質が悪いですが
参考にして頂ければ嬉しいです。