戦後の終わり、"光クラブ事件"の憂鬱 | ブロッコリーな日々

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アイドルマート下花店店長の落書き

『青の時代』は、三島由紀夫の5作目の長編小説である。

光クラブ事件を題材とした作品だ。

地方の名家に生れ厳格な父親に反感を抱きながら、合理主義に偏執して成長した秀才青年が、大金詐欺被害に遭ったことをきっかけに、自ら高金利の闇金融会社を設立する物語。

 

三島由紀夫自身は、失敗作と謙遜している。だが、店長は、三島作品の中では、一番面白く読んだ。

ただし、本作品よりも、実際の光クラブ事件のほうが興味深いと思う。

 

光クラブは、東大生「山崎晃嗣」が創業した金融会社だ。最盛期は社員30人を抱えるほどになった。

最終的には、経営が行き詰まり青酸カリを飲んで自殺するのだ。

 

この作品は、三島由紀夫を食わず嫌いで敬遠されたくないと思っている。

戦後日本の貪欲な庶民の生活に触れて欲しい。何か熱い時代の息吹を感じるのだ。

 

経済復興を成し遂げた現在、周囲にモノが溢れかえっている。

この作品が書かれた日本社会は、未来に希望を感じられていた。

 

だが、---

今の日本に無いものが一つだけある。--それは、希望だ。