2001年松下電器産業(現・パナソニック)は、ついにリストラに踏み切った。
創業以来堅持してきた終身雇用制度が、音を立てて崩れていくのだ。
事業部制で20世紀には成功をおさめたが、電気事業を取り巻く環境は大きく変わった。
終身雇用制度の見直し、早期退職制度が初めて導入されたのである。
「もはや技術ひとつを取っても、事業部だけでは完結できなくなっている。21世紀に相応しい経営スタイルを持った会社に
生まれ変わらないといけない」川上徹也取締役は、社員を集めてそう宣言した。
経済誌は、こぞって「松下ショック」という特集を組んでいた。もうサラリーマンが一生安定雇用される時代ではなくなったのである。これ以降、ショックは他社まで及ぶ。終身雇用は建前だけの制度にになっていくのだ。
続いてNECは、半導体事業で国内外の従業員4,000人を削減することを決めている。さらに、欧米での拠点を縮小し、国内の工場を統廃合することに踏み切った。NECの西垣浩司社長は、「もはや小手先のリストラでは済まされない」とまで発言したのだ。
要するに、この時点でドラッガーの予言は、半ば的中していたのである。
「日本は、遅くとも2010年までの間に、劇的変化に見舞われる。その引き金は、政治危機か、財政危機か、年金危機である」彼は2001年にテレビ番組に出演し、そうはっきり話しているのである。