1912年4月14日のことである。
乗員乗客約2220人を乗せた豪華客船タイタニック号が大西洋上で氷山と激突、処女航海の途上であったが沈没した。
就航当時、タイタニック号は、ブリッジから電動スイッチ一つで閉じることができる自動防水ドア付きの多区面構造や
二重船底など、当時の最新技術で建造されていた。それゆえ、氷山の警備も行き届いたものではなかったのだ。
タイタニック事故の最大の原因は、「絶対に沈まない」と、乗組員たちの過信にあった。彼らは、規定数の救命ボートを積み込んでいなかった。基本的な人為ミスといえる。
また他船から、氷山発見の知らせを受けていたが、タイタニック号は減速しなかったのだ。
さらに、水は空気に比べて温まりにくく、かつ冷えにくいため、4月の海水温は、気温が一番低い2月よりもさらに低下している。そのため海に投げ出された人々は、ほとんど即死状態だったと言われる。
タイタニック号の氷山との衝突事故は、結局1517人が死亡した。
処女航海に船出する際には、タイタニック号は神様でも沈められないと謳われた。そういった呼び声が大きくなると、乗組員の心には慢心が生まれる。救命ボートを人数分用意していないことなどは、誰も責められないと思う。
2000年になって、「独立行政法人海上技術安全研究所」では、タイタニック号が処女航海でこのような大惨事を引き起こす確率を49回に1回と解析している。この解析は、統計学の二項分布を使って行われている。
この海難事故のような損失、期待よりも実績が下方にぶれるようなリスクを「純粋リスク」という。
また、このリスクは「障害物」ともいわれる。
金融リテラシーは、こんな映画からでも勉強できるだろう。いつでも、そうありたいものだ。