ゲームにハマり続けると脳内はどうなるのか、驚愕の研究レポートがある。
岡田尊司著「脳内汚染」である。
著者の岡田尊司氏は、京都医療少年院に勤務する精神科医だ。
よって、彼は非行少年矯正現場の中心にいる先生でもある。
代表的な例は「神戸少年A」による複数の殺傷事件である。彼は「酒鬼薔薇聖斗」と名乗って新聞社に犯行声明文を送りつけていた。彼は、まだ14歳の少年であった。ゲームに耽溺した幼い少年の脳はどのような損傷を受けていたのだろうか。もちろん、ゲームに熱中する子供のすべてが異常な犯罪に手を染めるわけではない。
ところが、少年たちの脳は明らかな変異を見せていると岡田尊司氏は指摘している。
それは、東京・大阪での中学生を対象にしたアンケート結果から氏がまとめたものである。
岡田尊司氏の研究によれば「ゲームにハマる子供」と「そうでない子供」の顕著な特徴が挙げられている。
例えば、「生まれてきて良かった、自分のことを好きだと思う」子供は、何と5倍の結果が出ている。
さらに、「傷つけられるとこだわり、仕返しをしたくなる」には、約2倍の開きが見られたという。
ここでは、現実と区別ができない「仮想現実失調」に陥っている子供が少なからず見られたそうだ。
いわばバーチャルな世界が彼らの現実となり、実際の現実世界に彼らの生きる場所はないとも言えるのだ。
「酒鬼薔薇聖斗」と名乗った少年は、まさしく「仮想現実失調」に陥っていた。
では、いったいどうすれば、彼らは無事に現実世界に帰られたのだろうか。
ゲームに没頭する悪循環を止め、メディア漬けの状態を一週間だけでもやめてみればいい。
それができれば、彼らは自分の脳に負荷がかかっている状態を感じるとることができただろう。
過負荷から解放された脳は、徐々にダメージから回復を始め、リフレッシュしていくのであるから。
過剰な情報がどれほど心に無理を強いていたかを実感するようになるはずだ。
神戸事件で世間が大騒ぎになった日の11年後2008年6月であった。
今度は、派遣社員の「加藤智大」が、買い物客などでにぎわう秋葉原の歩行者天国に刃物を持って侵入し、17人を次々と殺傷する通り魔事件を引き起こした。奇しくも「酒鬼薔薇聖斗」と「加藤智大」は同い年である。
しかも、どちらもゲームの世界にハマっていたという。
「加藤智大」の生育環境は、異常な母親が生み出したとも云われている。
私は、彼らは、ゲーム脳以前に「脳奇形」の可能性もあると推量している。