『デビルマン』が公開された2004年には、往年の人気漫画・TVアニメをVFXを用いて実写化した映画が多数公開された。
「原作漫画の完全実写映画化」というキャッチフレーズのもと、制作費10億円をつぎ込みVFXをふんだんに用いて製作された。特撮映画・テレビを手掛ける東映と、アニメを手掛ける東映アニメーションがタッグを組んで特撮シーンが製作され、それを「T-Visual」と名づけて売り出した。
『デビルマン』は中でも特別に評価が低く、多くの酷評が寄せられたという。かつて、これほど原作者を激怒させた作品は存在しなかった。
映画評論家の前田有一は本作を「ポスターだけはいい映画」として100点満点中2点と評し、作家の山本弘も自身の公式ホームページで冗談めかしながらも「僕はこれから映画を作ろうという人間すべてにこの映画を観せるべきやと思う。
だってこの映画を観たら、娯楽映画を作る際に、何をやったらあかんかがよく分かるやろ?それさえ守れば、駄作が作られる可能性が極端に減らせると思うねん。」と述べている。辛辣な、しかし正しい意見である。
また唐沢俊一もこの作品を「事故」にたとえ、野次馬気分で見に行く映画であると指摘した。
さらに第14回東京スポーツ映画大賞特別作品賞において、審査委員長の北野武は「映画『デビルマン』は『みんな〜やってるか!』『シベリア超特急』『北京原人 Who are you?』に続く映画史に残る四大おバカ映画と、酷評した。
これらの評者が挙げる批判点としては以下のものがある。
1.主演の伊崎兄弟をはじめとしたメインキャストに演技経験が皆無かまったく乏しいタレントが大量に起用され、その様子は「学芸会レベル」と評された。
2.原作の話の筋を短い上映時間に詰め込んだ結果、原作では整合性の取れる部分が映画で意味不明になっている。
また、全体が細切れのエピソードの単なる羅列になり、物語の進行上で重要な場面の大半がカットされている。
3.さらに格闘シーンのCGしか迫力が無い中途半端感が否めない。
上記のことから『迷作』・『怪作』として世間に知られることとなった。
なお、製作費10億円に対して興行収入は5.2億円と興行的大失敗に終わったという。
日本のアニメは世界最高のレベルと評価が高いが、実写版がかくも低レベルとは永井豪でなくても悲しい。
いったい、この作品のプロデューサーはいなかったのだろうか。
クオリティの高い韓国映画の足元にも及ばない。情けない映画だと思う。