大ヒットした映画「たそがれ清兵衛」を再評価
作品の「あらすじ」
筆頭家老の堀将監は、能登屋と結託して専横を極め、自分に批判的な藩主の交代まで画策していた。
堀に対立する家老杉山頼母らは、上意討ちを決意して、討手に無形流の達人である井口清兵衛を選出した。
ところが清兵衛は、病弱の妻奈美の世話のため、下城の合図と共に同僚との付き合いも断ってそそくさと帰宅し、昼間は介護疲れで居眠りをすることもあることから、夕方になると元気になるという意味で、「たそがれ清兵衛」と陰口をたたかれていた。
最初、妻の介護を理由に上意討ちを断わろうとした清兵衛であったが、妻の療治への援助の約束と、決行は妻を介護した後でよいという条件を示され、ついに上意討ちを引き受ける。
そして、予定通り執政会議の席で堀を切り捨てた。上意討ちの褒美として、名医による治療と転地療法を施すことができ、奈美もみるみる回復していった。しかし、堀の股肱であった北爪半四郎が清兵衛の命を狙っていた。
この作品には、日本人の美点が詰まっている。己の務めをもくもくと果し、家族や隣人を愛し、1日1日を精一杯生きている清兵衛は立派だと思う。立身出世しようという気はさらさらないが、ひとたび大命が下されると、危険の伴う任務でも粛々と挑んでいく。
清兵衛は、今でいえば地方公務員だ。普段は目立たないが一大事が起きた時には能力を発揮できる人物として描かれる。
政治家や官僚たちには、清兵衛の爪の垢でも飲ませてやりたい。
見逃した人には激しくおススメ。