松下幸之助は、潜在意識を「根源」と称していた。
潜在意識こそ米国から伝わった「成功哲学」の肝だが、何も目新しい考えではなかった。
あの一大電器メーカー「松下電器産業」の創業者松下幸之助は、自身で体系化こそしなかったが、忠実な実践者である。
大阪府門真市にある松下電器産業本社に「創業の森」と命名された木立があり、その中に松下創業者夫妻の銅像、少し奥に「根源の社」と書かれた立て看板がある。さらに進むと比較的大きなお社が佇んでいる。このお社の説明は次のようになっている。
「宇宙根源の力は、万物を存在せしめ、それらが生成発展する根源となるものであります。その力は自然の理法として、私どもお互いの体内にも脈々として働き、一木一草の中にまで、生き生きとみちあふれています」
松下幸之助の重要な考えの一つに、宇宙には万物の生成発展があり、一切を生み出す大きな力が働いている、というものがある。それを松下は「根源」と命名し、お社を組み、お祀りしている。これを根源の社という。時に松下はこの根源の社の前に座って冥想していたという。
彼は、大きな存在により自分が生かされていることへの感謝を奉げたのであった。この根源の社は、松下電器産業にとって重要な拠点に鎮座している。一柱目は松下電器本社の創業の森、二柱目はPHP研究所京都本部、そして三柱目は松下電器の迎賓館、真々庵にある。松下は、特に真々庵の根源の社の前に円座を敷き、瞑想に耽ることが多かったと聞く。このことから根源の社が松下の精神的な拠り所として機能していたことがうかがえる。
根源の社は、松下の「新しい人間観」を考えるとき、まさにその思惟の「根源」となっている。
人間を「新しい」視点、つまり「人間は偉大である」という考え方によって認識し、捉える術。今までの「古い」人間観とは全く違った見方であった。
従来はマキァベリズムのように「獅子の如く猛々しく」「狐の如く狡猾」でなければならなかったり、あるいは教会の権威に捉われていたり、また性悪説や性善説といった荀子、孟子の捉え方が人間観の基礎であった。こうした人間観とは一線を画し、松下は、「人間は万物の王者である。この天命を自覚し、宇宙の動きと自然の理法に順応し、生成発展する一切のものを活かす役割を与えられている」とし、「物心一如の真の繁栄を生み出すことが人間の使命である」というのだ。
「思考は現実化する」というロングセラーは、この松下幸之助の「根源」思想に通じるところがある。
このブログを読んでいるあなたは、気が付いていましたか。
いずれにせよ、偉大な成功を成し遂げる稀有な人物には、共通点があることは確かなようだ。
あなたに、繰り返し伝えたい。心に宿ることは現実になる。