伊坂幸太郎「重力ピエロ」は、遺伝と家族の物語だ。
人気作家・伊坂幸太郎の直木賞候補になった同名ベストセラーを映画化した作品。
常識を超えた大きな愛に心で泣く感動ミステリーと評判を呼んだ。
大学院で遺伝子研究をする兄・奥野泉水(加瀬亮)と、自分がピカソの生まれ変わりだと信じる弟・春(岡田将生)。彼ら奥野家を襲ったとても辛い出来事の記憶を抱えたまま、兄弟は育った。あるとき謎の連続放火事件が発生する。すべての謎が解けたとき、24年前から今へと繋がる兄弟の秘密が明らかになる。
撮影は、伊坂幸太郎の拠点であり原作の舞台、仙台・宮城で実施された。蔵王、大倉ダム、開学以来はじめて撮影場所として門戸を開いた東北大学など、仙台市・宮城県による完全バックアップの下で撮影されている。
謎解きのキーとなる落書き=グラフィティアートは森監督自らがデザインしたという。すべてのグラフィティアートを組み合わせると人間の体になるような構造になっている。
グラフィティアートに興味を抱く人には特におススメの作品だ。
それ以上に、伊坂ワールドに足を踏み入れる怖さにあなたはおののくに違いない。
容姿の美しい弟は、父親ではなくレイプ犯の血を受け継いでいる。
父は、母に妊娠していると告げられた時、それは強姦されたからだとすぐに気附く。
この作品は、通り一遍に軽く受け流していては、何のことかさっぱり分からないはずである。
どうか気合を入れて、存分に浸って欲しい。私には、三度鑑賞して初めて理解できた。