人間の根源に迫る名作「ゴールデンボーイ」の憂鬱 | ブロッコリーな日々

ブロッコリーな日々

アイドルマート下花店店長の落書き

人間の根源をジェノサイトに学ぶ

「ゴールデンボーイ」の憂鬱

モダンホラーの巨頭スティーヴン・キングの『ゴールデンボーイ』(邦訳・新潮文庫)の映画化。

監督には「パブリック・アクセス」「ユージュアル・サスペクツ」のブライアン・シンガーがあたった。

 

1998年製作/112分/アメリカ
原題:Apt Pupil
配給:松竹富士配給(松竹=パイオニアLDC提供)

 

舞台は、ロサンジェルス郊外の住宅地。

スポーツ万能で成績優秀な高校生トッド・ボウデン(ブラッド・レンフロ)は、学校の授業で戦前ナチスドイツが行ったホロコーストに触れ、その実態を知りたいと思っていた矢先、バスの中でナチス戦犯クルト・ドゥサンダーらしい人物を目撃する。

 

潜伏するナチ戦犯と、彼に接近して話を聞くうちにおのれの内部に巣食う邪悪さに目覚めていく少年の姿を描いたサスペンスである。

 

やがてトッド・ボウデンは、ひょんなことでホームレスを殺してしまう。すると元ナチスの老人は、彼に向って言うのだ。「どうだった、人を殺す気分は--」と。元ナチスの老人は、トッド・ボウデンの目に映る恍惚の色を見逃さなかった。

 

残虐性は、ナチスだけが持っていた特異な性質ではなかった。人は誰でもがナチスになれるのだ。

犠牲になったユダヤ人側にもあり、人間には誰でもこの残虐性を持っている。

 

気が重くなるテーマであるが、気合を入れて作品を鑑賞して欲しい。

見逃した人には激しくおススメ。