戦闘報告書の名文を残した秋山真之 | ブロッコリーな日々

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アイドルマート下花店店長の落書き

東郷平八郎率いる連合艦隊において主席参謀を務めたのが秋山真之である。

東郷艦隊は、バルチック艦隊を全滅させるが、史上にのこるT字戦法を編み出したのが秋山だとされている。

普通、艦船同士の撃ち合いは、お互いが横一列ならんで向き合って砲撃し合うのだ。当時の戦争はそれが常識であった。

T字戦法は、敵の艦隊とすれ違いざまに、直進せずに90度に旋回する。つまり両方がT字を描くのだ。

だから、敵は先頭の戦艦が1隻か2隻のみとなり、その隊列に向かって自軍はすべての戦艦が行く手を阻むように広がって砲撃を加えることができる。秋山は、当時の非常識というべき戦法を考え出している。

 

作家の司馬遼太郎は「坂の上の雲」で、このくだりを村上水軍の戦法にヒントを得たのだろうと推論している。

その秋山真之は、名文家でもある。彼は戦闘報告書はいくつも残しているが、有名になったものばかりである。

 

例を上げておく。

日本海大海戦に臨んで「本日天気晴朗ナレドモ浪タカシ」や連合艦隊の解散式に東郷平八郎が詠んだ「古人いわく勝って兜の緒を締めよ」の起草は、秋山真之によるものである。

 

同郷で学友でもあった正岡子規を意識したのか、晩年には「不生不滅、明けて鴉の三羽かな」と辞世の句を詠んでいる。枕もとに海軍士官20名ほどを座らせ、「これからは戦闘機の時代がやってくる。諸氏は、その研究に全力を注げ」と遺言している。