IT業界の富と影響力は常に、ソフトウエアやそれを動かすマシンに関する主導権と結びついてきた。
しかし最近は、技術開発の競争において、データの存在感が増している。
AI(人工知能)から「おすすめ商品」まで、あらゆることの中心に膨大な量の情報がある。これを、一般にビッグデータと称している。
そして、とくにヨーロッパでは、グーグルやフェイスブックなど超大手インターネット企業が、保有するデータ資源を盾に新規参入や革新を阻むのではないかという懸念が高まっている。
ここ数年、グーグルやフェイスブック、アップル、アマゾン、マイクロソフトが次々と、税金逃れやプライバシー保護、反トラスト法(日本でいう独占禁止法)問題の標的になっている。しかし今後は、データの可能性を制する者が、世界的な規制の対象になるだろう。
欧州委員会と英貴族院は昨年、デジタル「プラットフォーム」企業に関するリポートをそれぞれ発表した。
データの収集・分析・配信が、市場の創出と形成に果たす重要な役割に注目が集まっている。
OECD(経済協力開発機構)は昨年11月に、「ビッグデータ:デジタル時代の競争政策について」と題した討論会を開催している。
現在、ほぼ毎日と言ってもいいくらい、AI開発やIoT製品のニュースが流れてくる。
いまこの瞬間も、世界中のIoTで人間のデータが吸収され、それはAI開発の礎となっているのだ。
それらAIは、姿がまんま人間のモノもあれば、ロボット掃除機ルンバやamazonのEcho、いまお持ちのスマートフォンのように「ザ・機械」な見かけをしていることも多い。モノがあふれ、同時に削られていく現代である。
GoogleやFacebook、amazonらを筆頭に開発が進むこれらテクノロジーの数々は、かつてないほどの劇的な変化を見せ未来へと突き進んでいる。いずれも果敢にリリースと撤退を繰り返し、未来へ挑み続けているのだ。
先進国にいると、当然すぎて、むしろ自分には関係ないとさえ思っているのではないだろうか。
そろそろ、こぞって世界的な巨大企業がAI開発を始めとした「お金が湯水のごとくかかるチャレンジ」をしている理由を考えてみるべきかも知れない。
われわれは、進化に興味を持ち、それがいったい何を意味しているのかを。取り残されないために。