古典的恋愛映画の名作「陽のあたる場所」---シオドア・ドラーサー原作「アメリカの悲劇」の映画化 | ブロッコリーな日々

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古典的恋愛映画の名作「陽のあたる場所」

---シオドア・ドラーサーの原作小説「アメリカの悲劇」の映画化

1951年製作/アメリカ
原題:A Place in the Sun
配給:パラマウント日本支社

監督:ジョージ・スティーブンス

主演:モンゴメリー・クリフト、エリザベス・テイラー

 

シオドア・ドラーサーの原作小説「アメリカの悲劇」の映画化である。

本作品は、51年度アカデミー監督賞、脚色賞、黒白撮影賞、作曲賞、編集賞、編集賞、黒白衣装デザインと6つのオスカーを獲得した。

ジョージ・イーストマン(モンゴメリー・クリフト)は野心に燃える青年だった。

母子2人きりの貧しい家に育ち、シカゴのホテルでボーイをしていたが、ウォーソーの町で水着製造工場を経営している伯父のチャールズ・イーストマンに会い、幸い彼の工場に職を得た。

 

伯父の邸で社交界の花アンジェラ・ヴィカース(エリザベス・テイラー)に会い、心を惹かれたが、ジョージにとっては、身分違いの遠い存在に思えた。ジョージと同じ職場にいたアリス・トリップ(シェリー・ウィンタース)は、身よりのない娘で、ある夜映画館でふと隣合わせになったことから、2人の仲は急に深まった。

 

会社では男女社員の交際が御法度になっていたので、2人は人目を忍んで逢瀬を楽しまねばならなかった。

ジョージは伯父の邸のパーティに招かれ昇進の機会を与えられて、アンジェラと再会した。

彼女はジョージの純真さに惹かれた。その日はちょうどジョージの誕生日だった。

 

アリスは下宿でささやかな祝宴の準備をして待ちかねていた。彼女は妊娠していたのである。

思い余ったジョージは彼女に堕胎をすすめたが、医者は引き受けてくれなかった。

アンジェラとジョージは、ますます愛し合うようになり、2人は夏をアンジェラの別荘に過ごした。

アンジェラの両親も2人の仲を許し、2人は許婚同様の間柄となったが、ある夜ジョージの元にアリスが電話をかけてよこした。

彼は母の急病と偽って別荘を出、アリスと会った。彼女は結婚を迫り、承諾しなければ彼女との間を公にすると脅した。

 

翌日ジョージは出世の妨げになるアリスを溺死させようという下心から彼女を湖に誘った。

だがアリスのひたむきな愛情を知った時、ジョージは、彼女を溺死させる気持ちを失った。

アリスはジョージの底意を感じとって恐怖にかられ、ボートの上に立ち上がったため、ボートは転覆して、アリスは溺死し、ジョージは岸に泳ぎついた。次の夜、ジョージは捕まった。

 

裁判が開かれジョージは殺意のあったことを認めたが、犯行は否定した。しかし陪審員は彼を有罪として、死刑が宣告された。

刑執行の直前、ジョージを訪ねたアンジェラは彼に永遠の愛を誓うのだった。。

モンゴメリー・クリフト演じる主人公の感情が、明確なセリフがないにも関わらず、その変化うつろいなど手に取るように伝わる演出・演技力。

それにしても、エリザベス・テイラーの完璧な美しさはどうだろう。

 

見ていても穴が空きまくりの主人公の行動は、そのまま観客が陪審員として裁判へ参加する感覚になる。

とにかく身勝手で考えなしのジョージにうんざりするが、いざ裁判が始まると「そりゃないよ」と思ってしまう。
アリス役がシェリー・ウィンタース。男の心が自分から離れていく不安を見事に表現し、バス停での電話場面など、ヤバさが絶妙だった。

 

チャップリンが絶賛した名作である。たまには、鑑賞してみよう。

見逃した人には激しくおススメ。