2009年本屋大賞を受賞
---湊かなえのミステリー小説を映画化
2010年製作/日本
配給:東宝
監督:中島哲也
主演:松たか子
2009年本屋大賞を受賞した湊かなえのミステリー小説を映画化した。
ある中学校の1年B組の担任を務める女性教師の森口(松たか子)は、愛娘を学校のプールで殺害される。
警察は事故死と判断するが、森口は学年末の終業式の日に、犯人はクラスの中にいると生徒たちに告げる。
松たか子は、主役を引き受けた撮影当時の心境を雑誌の取材で下記のように答えている。
この役をやることで、「どう思われるのだろう?」といった気持ちもありました。
でも次の瞬間、「どう思われてもいいかな」と割り切れたんです。
それはまず、小説を書かれた湊かなえさんの覚悟があり、それを映画にしようとする中島哲也監督の覚悟があったので、自分も覚悟しなきゃいけない、と。「とにかく、やるんだ!」というシンプルな気持ちになれました。
つまり、松たか子は、この覚悟があったからこそ、素晴らしい演技ができたように思う。
学級崩壊していると言えるほど騒がしい教室。淡々と話しかける松たか子。
作品冒頭から、一人芝居のような独白が続く。
彼女だからこそできた、冒頭のシーンだったと思う。
終業式の教室。「娘の愛美はこのクラスの生徒に殺されました」
1年森口B組の担任教師、森口悠子のセリフで映画は始まる。
最初は真面目に聞いていなかった生徒も、次第に森口の告白に聞き入りのだ。
静まり返った教室で森口が延々と語っていくシーンは、娘を殺された人間の狂気を上手く表現している。
少年法とは何かを考えさせられる社会性のある映画である。
子どもを殺された母親の怒り、悲しみ、また、犯罪を犯してしまった生徒たちの心の闇が切ないほどに伝わってくる。
見逃した人には激しくおススメ。