スペインの独裁政権に反旗
---地下組織「サルバドール」の罪と罰
2006年製作/スペイン・イギリス合作
原題:Salvador
配給:CKエンタテインメント
監督:マヌエル・ウエルガ
主演:ダニエル・ブリュール
1970年代初頭のスペイン。
独裁政権に対し反旗を翻す地下組織に属するサルバドールは、闘争資金を得るために銀行強盗を繰り返していた。
やがて警察との銃撃戦が起き、その混乱の中で逮捕されたサルバドールは死刑を求刑されるが---
「サルバドールの朝」の時代はその30年後の1973年、独裁政権末期のスペイン。
階級の無い社会を夢みて、独裁政権下での「自由」を求めた25歳の青年サルバドールが処刑される。
この作品は政権末期の機密記録にある、実際に起こった青年の悲劇を映画化したものである。
スペイン独裁政権はヒトラーやムッソリーニの盟友フランコ将軍の政府だ。
僅か30年前なのにヒトラー的政権がヨーロッパの一角を占めて暗黒の支配をしていたことにも驚く。
主人公サルバドール・プッチ・アンティック(ブリュール)は誰からも好かれる明るい青年だ。
カタルーニャ人の彼は長く続くフランコ独裁政権に対して、仲間とともに自由を求める声を挙げる。
同じ大学に通うクカ(ワトリング)は知的で美しく理想的な恋人である。
サルバドールの生活が変ったのは、反政府の活動資金のため銀行強盗をして、犯罪者として警察に追われる身となってからだ。
地下に潜り、仲間と強盗を重ねたある日、バルセロナのカフェで警察と銃撃戦になり、サルバドールの銃弾が若い警官の命を奪う。
映画は、裁判で死刑宣告を受けてから処刑される朝までを克明に描いていく。
サルバドールの革命の同志や家族、特に一番下の13歳の妹マルソナにも触れる。
涙なしでは、とても観ることができない作品だ。
店長は、日本の連合赤軍を思い出した。見逃した人には激しくおススメ。