日本地図完成のため未開の地・劔岳を命懸けで目指した測量師たち
2009年製作/日本
配給:東映
監督:木村大作
出演:浅野忠信、香川照之、松田龍平、宮崎あおい
日本映画界を代表するキャメラマン・木村大作が初監督に挑戦し、日本地図完成のため未開の地・劔岳を命懸けで目指した測量師たちの姿を描いたドラマ。
原作は新田次郎の同名小説。
明治時代末、陸軍参謀本部陸地測量部の柴崎は、地図上で空白となっている劔岳の登頂と測量の命令を受け、仲間と共に劔岳に挑む。
しかし、そこには雪崩や暴風雨など想像を絶する困難が待ち構えていた。
舞台は、明治39年秋、日本は日露戦争で勝利を収めていた。
だが、ロシアはフランスと手を組み、朝鮮半島への進行を画策していた。
陸軍上層部は、このままでは日本にとって驚異が及びかねない事態となり、このような時期だからこそ、日本の国防のため、詳細な日本地図の完成が急務と判断する。しかし、そのためには、最後の空白地点「越中劒岳(以下「剣岳」表記)」に初登頂し、三等三角網を完成させ、日本地図を完成が急務であった。
そこで、陸軍省参謀本部の陸地測量部に赴いた陸地測量部所属測量手・柴崎芳太郎は、陸地測量部長・大久保徳明陸軍少将はじめとする陸地測量部上層部から、「陸軍の威信にかけて」前人未踏の「剣岳」に初登頂し三等三角網を完成させよとの至上命令を受けるのだ。
その頃、外国の山岳技術を取り入れ、名誉と名声のための登頂を目的とした登山家集団「日本山岳会」の活躍が目立ってきていた。そんな素人集団には決して負けてはならん。失敗は許さんと、大久保陸軍少将は、柴崎に厳命するのだ。
その日、奇しくも日本山岳会のリーダー・小島烏水も、前人未踏の剣岳の初登頂を目的に、陸地測量部の資料を調べに来ていた。柴崎はその日の夜、新婚の妻・葉津よに、立山連峰の剣岳に登るために22日間ほど家を空けるという。
その翌日、柴崎は『二等三角點ノ記』の著者・古田盛作に会いに行き、立山連峰の剣岳に登ることを報告する。
古田は昔、陸地測量部の測量手で、今は隠居生活を送っていた。登頂には優秀な案内人が必要である。
古田は柴崎に、地元の山を知り尽くし山歩きの独特の勘を持つ優秀な案内人・宇治長次郎を紹介した。そして、「決して焦って無理をしてはいかん。あの山は生半可な覚悟では登れない山だよ」と忠告するのだったが--
公開時からCG一切ナシの本物の映像や苦行とまで言われた過酷な撮影話ばかり注目されがちだが、
店長の私は、この作品を見る度にそれら以上に満たされたものを感じてしまった。
それは、人への敬意。謙虚さ。誠実さ。そして達成した時は素直に称え合うことだ。
一つの偉業を成し遂げるのではない。やり遂げる。その誇りである。
山岳を感動的に切り取った監督の力量はさすがだ。
ただし、人間ドラマをもう少し掘り下げて欲しかったと思う。
見逃した人には激しくおススメ。。